司法試験H23公法系科目第11問【国家賠償請求権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H23第11問を解説していきます。

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〔第11問〕(配点:3) 国家賠償請求権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№19]から[№21])

ア.国又は公共団体の行為が,いわゆる非権力的な管理作用に属する場合は,大日本帝国憲法下でも判例上民法第709条以下の規定による不法行為責任がある程度まで認められていた。それゆえ,日本国憲法第17条の意義は,権力作用に属する不法行為との関係で国家無答責の原則を否定し,国家の賠償責任を明記した点にあるということができる。[№19]

イ.日本国憲法第17条は,国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利について,「法律の定めるところにより」として,その法律による具体化を予定している。これは公務員のどのような行為によりいかなる要件で賠償責任を負うかを全面的に立法府の裁量判断に委ねる趣旨であるから,このような法律の定めが同条に反することはないと解される。[№20]

ウ.最高裁判所は,かつて,例え立法の内容が憲法に違反するものであっても国会議員の立法行為は国家賠償法第1条第1項の適用上当然に違法の評価を受けるものではないとしていた。しかし,最高裁判所は,その後判例を変更し,国会で議決された法律が違憲であれば国家賠償法上も違法の評価を受けることになるという立場を採るに至った。[№21]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

憲法17条

何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

17条で定められるように、公務員の不法行為で損害を受けたとき(権利侵害など)には、国または地方公共団体に賠償を求めることができます。

アについて

日本国憲法以前では国の行為で損害が加えられても、国はそれを賠償する責任を負いませんでした。

しかし、日本国憲法では国の責任を17条で明記し、国や地方公共団体に賠償を求めることができるとした点で意義があると認められます。 そのため、解答は1となります。

イについて

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憲法17条は公務員のどんな行為のどんな要件で損害賠償責任を負うかを立法府の裁量にゆだねたもので、「立法府に無制限の裁量権を付与するといった法律に対する白紙委任を認めているものではない」としています。 そのため、解答は2となります。

ウについて

判例では、法律自体が憲法に違反するしている場合に、必ず国家賠償法に基づく損害賠償を請求できるとはしていません(上記参照)。 そのため、解答は2となります。

 

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