司法試験H24公法系科目第10問―【郵便法違憲判決】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H24の第10問を解説していきます。 

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〔第10問〕(配点:2)
郵便法違憲判決(最高裁判所平成14年9月11日大法廷判決,民集56巻7号1439頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№18])

ア.憲法第17条は,公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除又は制限する法律が立法権の裁量を逸脱したものである場合には,これを違憲無効とする効力を持つ規定である。

イ.書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,国の損害賠償責任を全面的に免除する立法は違憲無効であるが,法律で国が負担すべき賠償額に一定の制限を付することは許される。

ウ.特別送達郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,国の損害賠償責任を免除又は制限する立法は違憲無効であるが,軽過失にとどまる場合には,国の損害賠償責任を免除又は制限することも許される。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000098848.pdf

判例はこちらになります。

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アについて

「公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断にゆだねたもの」とされています。

ここから、立法府の裁量にゆだねているが、それが裁量の範囲を超える場合には違憲と判断することができると考えられます。そのため、解答は◯となります。

 

イについて

「書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条が立法府に付与した裁量の範囲を逸脱したものであるといわざるを得ず」としています。

ここから損害が生じた場合における国の賠償責任の免除・制限をする部分は、立法府の裁量を逸脱していることが分かるので解答は✖となります。

ウについて

「郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づき損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反し,無効である」としているので、解答は✖となります。

以上より、ア=◯・イ=ウ=✖であるため解答は4となります。

 

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