司法試験平成29年民法短答式試験第36問【団体等】
みなさん、こんにちは!
今日は【団体等】を解説していきます。
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〔第36問〕(配点:2)
団体等に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。(解
答欄は,[№36])
1.組合の債権者は,各組合員に対して,その権利を行使することができない。
2.組合員の債権者は,組合財産に対して,その権利を行使することができる。
3.一般社団法人の債権者は,各社員に対して,その権利を行使することができる。
4.一般社団法人の社員の債権者は,法人の財産に対して,その権利を行使することができない。
5.権利能力なき社団の債権者は,各構成員に対して,その権利を行使することができる。
1について
民法675条1項
組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。
組合の債権者は各組合員に対して権利を行使できるのが675条より明らかなので、解答は✖となります。
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2について
判例によれば、組合員の債権者は、組合財産に対する組合員の持分を差し押さえることができないとしています。
そのため、解答は✖となります。
3について
一般社団法人法27条
社員は、定款で定めるところにより、一般社団法人に対し、経費を支払う義務を負う。
社員は一般社団法人に対して経費を支払う義務を負うにとどまり、それを超えて債務を負担することはありません。
そのため、解答は✖となります。
4について
社員の債権者は社員の財産のみに権利を行使でき、法人財産には権利を行使できないと解されます。
そのため、解答は◯となります。
5について
判決:最高裁判決昭和48年10月9日
判決では「 権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない」と述べられます。
権利能力なき社団の債権者は、社団の構成員各員ではなく全員に1個の債務として帰属するので、各構成員に対して権利を行使できません。
そのため、解答は✖となります。
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