司法試験平成29年民法短答式試験第33問【成年後見】

みなさん、こんにちは!

今日は【成年後見】を解説していきます。

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〔第33問〕(配点:2)

成年後見に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№33])

ア.精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者についても,その者の配偶者が保佐開始の審判を求める申立てをした場合には,家庭裁判所は,保佐開始の審判をすることができる。

イ.家庭裁判所が本人以外の者の請求によって,本人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をするには,本人の同意がなければならない。

ウ.家庭裁判所は,後見開始の審判をするときは,職権で,成年後見人を選任する。

エ.成年後見人と本人との利益が相反する行為については,成年後見人は,成年後見監督人がいる場合であっても,本人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

オ.任意後見契約が登記された後に,家庭裁判所が任意後見監督人を選任した場合において,本人が任意後見人の同意を得ずに本人所有の不動産を売却する旨の売買契約を締結したときは,その売買契約は,本人が任意後見人の同意を得ずにしたことを理由に取り消すことができる。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

民法11条

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。

民法7条

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は配偶者の請求によって保佐開始の審判をすることができません(11条)。

そのため、解答は✖となります。

 

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イについて

民法876条の4第1項第2項

家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。 

本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。

本人以外の者の請求で保佐人に代理権を付与する旨の審判をするには、本人の同意が必要となります。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

民法843条1項

家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。

民法843条1項より明らかなので解答は◯となります。 

エについて

民法860条

第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。 

民法826条

親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

後見監督人がいる場合には826条の準用はなく、家庭裁判所に請求する必要はありません。

そのため、解答は✖となります。

オについて 

任意後見制度には取消権がないので、任意後見人は被後見人の法律行為を取り消すことができず、後見人も自身が行った行為を取り消すことができません。

そのため、解答は✖となります。以上、イ=ウ=◯・ア=エ=オ=✖なので解答は3となります。

 

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