司法試験H23公法系科目第19問【旭川国民健康保険条例】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験公法系科目H23第19問を解説していきます。
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〔第19問〕(配点:3) 旭川市国民健康保険条例事件判決(最高裁判所平成18年3月1日大法廷判決,民集60巻2号587頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№35]から[№37])
ア.租税は,国民に対して直接負担を求めるものであるから,課税をするに当たっては,必ず国民の同意を得なければならない。したがって,租税を創設し,改廃する場合だけでなく,課税要件と賦課及び徴収の手続についても,全て法律に基づいて定められる必要がある。[№35]
イ.憲法第84条は,直接的には,租税について法律による規律の在り方を定めるものであるが,国,地方公共団体等が賦課徴収する租税以外の公課であっても,その性質に応じて,法律又は法律の範囲内で制定された条例によって適正な規律がなされるべきである。[№36]
ウ.憲法第84条の定める「租税」とは,国又は地方公共団体が,その課税権に基づいて,その使用する経費に充当するために,強制的に徴収する金銭給付のことをいい,市町村が行う国民健康保険の保険料の徴収には憲法第84条の趣旨は及ばない。[№37]
出典
本件判例はこちらになります。
アについて
本件条例では保険料率が定められておらず、市長の市長の告示の方式に委任されていましたが、市長の判断に任せたのは合理的であり、その中の見込み額の推計には民主的統制が及んでいるとしました。
以上をもとにして、保険料率を告示の方式で公示することを委任したことで、憲法84条の趣旨に違反しないとしました。 そのため、解答は2となります。
イについて
判決では「租税以外の公課であっても租税に類似する性質があれば、憲法84条の趣旨が及ぶと解すべき」とし、賦課要件もそれに応じて定められるべきとしています。 そのため、解答は1となります。
ウについて
この保険料には直接憲法84条の規定が適用されないとしながら、「租税以外の公課であっても,賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては,憲法84条の趣旨が及ぶと解すべき」としています。 そのため、解答は2となります。
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