司法試験H23公法系科目第18問【違憲審査権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H23第18問を解説していきます。

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〔第18問〕(配点:2) 違憲審査制に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№34])

ア.憲法第81条は,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する争訟事件を解決するのに必要な限度で,裁判所に違憲審査権を付与した規定である。したがって,裁判所にはいわゆる客観訴訟において違憲審査を行う権限はない。

イ.憲法は国の最高法規であってこれに反する法律命令等はその効力を有さず,裁判官は憲法及び法律に拘束され,憲法を尊重擁護する義務を負う。したがって,最高裁判所に限らず下級裁判所の裁判官も違憲審査の権限を有する。

ウ.憲法第81条が「一切の法律,命令,規則又は処分」という場合の「処分」とは,統治機関の行為の意味である。したがって,これには行政機関の行政処分のみならず,裁判所の判決も含まれる。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

客観訴訟というのは、個人の利益とはかかわりのない訴訟=具体的な事件性を前提としていない訴訟とされています。

通常は訴えの利益がないとされて却下されますが、客観訴訟は例外で特別に認められています。

客観訴訟には民衆訴訟や機関訴訟も含まれるとされており、民衆訴訟には地方公共団体と住民の例等が挙げられ、これを裁判所は審査することができるとされます。 そのため、解答は✖となります。

イについて

最高裁判所だけでなく下級裁判所にも違憲審査権があるので解答は◯となります。最高裁まで行く場合もあるため、下級裁判所の違憲判決はそこまで注目されていません。

ウについて

憲法81条

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。 
行政機関の処分だけでなく、裁判所の判決(処分)が憲法に違反していないかを判断することができます。そのため、解答は◯となります。
以上、ア=✖・イ=ウ=◯なので解答は5となります。
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