司法試験平成29年民法短答式試験第30問【不法行為】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法H29の30問を解説していきます。 

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〔第30問〕(配点:2)

Aが運転するタクシーとBが運転するタクシーが衝突する交通事故(以下「本件事故」という。)が発生し,Aが運転するタクシーの乗客Cが負傷し,Cに300万円の損害が生じた。本件事故についての過失割合は,Aが4割で,Bが6割であり,Cに過失はなかった。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№30])

ア.CがAに対して本件事故後3年以内に損害賠償を請求する訴訟を提起すれば,CのBに対する損害賠償請求権の消滅時効も中断する。

イ.BがCに対して損害賠償債務の弁済として100万円の支払をした場合には,Bは,Aに対し,40万円を求償することができる。

ウ.Bが,Cとの間で,BがCに対して200万円を支払うとともに,CがAの損害賠償債務及びBのその余の損害賠償債務を免除する旨の和解契約を締結した場合であっても,Cは,Aに対し,100万円の支払を求めることができる。

エ.Aに使用者Dがおり,Dが本件事故について使用者責任を負う場合において,DがCに対して損害賠償債務の弁済として300万円を支払ったときは,Dは,Aに対し,信義則上相当と認められる限度において求償することができる。

オ.Bに使用者Eがおり,Eが本件事故について使用者責任を負う場合において,AがCに対して損害賠償債務の弁済として300万円を支払ったときは,Aは,Eに対し,180万円を求償することができる。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

判例:最高裁判決昭和57年3月4日

判例によればアのような不真正連帯債務の場合は、履行の請求において民法434条の適用はないとされます。

そうすると、アの場合はCのBに対する消滅時効は中断しないことになるので、解答は✖となります。

 

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イについて

判例:最高裁判決昭和63年7月1日

Bの負担部分は180万円ですから、100万円の支払いをしてもAに対して40万円を求償できません。

そのため、解答は✖となります。

ウについて

判例:最高裁平成10年9月10日

判例によれば、一方の債務を免除した場合に、他の者の債務も免除する意思があればその者に対して債務の免除の効力が及ぶとされます。

そうすると、CはA及びBに対して債務を免除する意思を有していることが明らかなので、Aに対して支払いを求めることはできません。

そのため、解答は✖となります。

エについて

判理:最高裁判決昭和58年7月8日

使用者が被用者に代わって弁済をしたとき、信義則上認められる範囲内で被用者に対して賠償・求償を請求することができます。

そのため、解答は◯となります。

オについて

判例:最高裁判決昭和63年7月1日

判例によれば使用者にも責任があるとされているので、過失割合を超えて損害賠償をしたときは負担部分を使用者に対して請求することができます。

そのため、解答は◯となります。以上、エ=オ=◯なので解答は5となります。

 

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