司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第6問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験H28 憲法第6問を解説していきます。

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〔第6問〕(配点:2)
知る権利に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№12])
ア.様々な意見,知識,情報の伝達の媒体である新聞紙等の閲読の自由が憲法上保障されるべきことは,表現の自由を保障した憲法第21条の規定の趣旨,目的から,いわばその派生原理として当然に導かれるものである。
イ.新聞等の記事が特定の者の名誉ないしプライバシーに重大な影響を及ぼし,その者に対する不法行為が成立する場合には,具体的な成文法がなくても,反論権の制度として,反論文掲載請求権が認められる。
ウ.自己の思想,意見を形成するために自由な情報の受領は不可欠であるから,特に,国の政府機関が保有する情報の開示請求権は,これを具体化する法律がない場合であっても,当然に具体的権利として認められ,司法上の救済を受けることができる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

判例は「よど号ハイジャック記事抹消事件」となります。

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本件判例では、憲法19条・21条の規定や目的から「派生原理として当然に導かれるところであり、すべて国民は個として尊重される旨を定めた憲法13条の規定の趣旨に沿うゆえである」としています。

ここから、閲読の自由が派生原理的なもので当然にすべての人に対し保障される「人権」であることが分かるので、解答は〇となります。

イについて

判例は「サンケイ新聞意見広告事件」となります。

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本件判例では、「アクセス権を認めることで、新聞社側は政党批判など反論を受けるような報道をしなくなる(萎縮的効果)、憲法21条から導き出される権利とは言えない」としました。

また、アクセス権を認めて政党などの報道がなくなると、国民の知る権利も害されてしまいます。よって、イの答えは✖となります。

ウについて

情報開示請求権はありますが、それは司法上の救済を受けられる場合とそうでない場合があります。例えば、開示することで国家間に重大な影響を及ぼす情報などです。

この場合は国民の権利よりも政府の利益の方が重大ですので、司法上の救済を受けることができません。よって解答は✖となります。

以上、ア=〇・イ=ウ=×で解答は4となります。

 

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