司法試験H23公法系科目第17問【司法】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H23第17問を解説していきます。

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〔第17問〕(配点:2) 司法に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つの組合せを,後記の1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№33])

ア.最高裁判所裁判官の国民審査は,最高裁判所の判例の趣旨に照らせば,内閣の任命を国民が確認する意味を含むので,白票は罷免を可とするものとして扱われてはならない。

イ.日本国憲法は特別裁判所の設置を明文で禁止しているが,弾劾裁判所は,憲法上の例外である。

ウ.現行法を改正して最高裁判所を頂点とした二審制となる審級制度を導入することは,違憲である。

エ.憲法上の直接的な明文の規定はないが,司法権の独立の観点から,最高裁判所及び下級裁判所が司法行政権を担っていると解されている。

1.アとイ 2.アとウ 3.アとエ

4.イとウ 5.イとエ 6.ウとエ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf』 

アについて

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国民審査とは「国民が罷免すべきか否かを決定する趣旨であって、所論の様に任命そのものを完成させるか否かを審査するものでない」とされています。

そして、「積極的に罷免を可としない」という制度の趣旨に照らせば、白票は罷免を可としないものとして扱うことが思想良心の自由を侵害しないとしています。 そのため、解答は✖となります。

イについて

64条1項

国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

76条2項

特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
このように特別裁判所の設置が76条2項で禁止されていますが、弾劾裁判所の設置は憲法が容認する例外であるとされています。
そのため、解答は◯となります。

ウについて

憲法76条1項

すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
76条1項では最高裁判所と下級裁判所について規定されますが、下級裁判所の具体的な種類や審査制等は示されていません。
また、裁判に不服がある場合に上告できるようにしているのが三審制であり、そうすると二審制でも控訴することができ、慎重・公正な裁判を実現できると考えられます。
そのため、解答は✖となります。

エについて

司法行政権については明記されていませんが、最高裁ホームページでは「最高裁判所には,規則制定権と最高の司法行政機関としての司法行政権が与えられています。

これらの権限は,長官と14人の裁判官によって構成される最高裁判所裁判官会議の議決に基づいて行使しています」とされています。

司法権の独立という観点から、裁判所内などの人事権・事務などを行う司法行政権を有しているので、解答は◯となります。

 

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