司法試験H26公法系科目第10問―社会保障制度について

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H26大問10を解説していきます。

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〔第10問〕(配点:3)
社会保障制度の合憲性をめぐる理由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№18]から[№20])
ア.限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり,国が自国民を在留外国人より優先的に扱うことは許されるが,特別永住者について障害福祉年金の支給対象から一切除外することは,不合理な差別となる。[№18]
イ.障害基礎年金の受給に関し,保険料の拠出要件を緩和するか否かは国の財政事情等に密接に関連するから,保険料負担能力のない20歳以上60歳未満の者のうち学生とそれ以外の者との間に障害基礎年金の受給に関し差異が生じていたとしても,不合理とはいえない。[№19]
ウ.生活保護法に基づいて生活保護を受けるのは,単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく,法的権利であるから,保護基準の改定(老齢加算の廃止)に基づく保護の不利益変更は,その改定自体に正当な理由がない限り違法となる。[№20]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000123124.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000123390.pdf

アについて

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最高裁では、外国人は行政庁の通知等で「事実上の保護の対象」になるだけで、法の保護対象にはならず生活保護の受給権もないとしました。

そのため、解答は2となります。

イについて

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最高裁では「いわゆる障害基礎年金等の受給に関し保険料の拠出に関する条件を緩和するかどうか、どの程度緩和するかは、国民年金事業の財政及び国の財政事情にも密接に関連するもの」としています。

そのため、差別が生じていたとしてもそれは不合理ということはできないと理解することができ、解答は1となります。

 

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同様のことが堀木訴訟でも示されています。

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ウについて

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最高裁では「前期大臣が、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど、憲法及び生活保護法の趣旨、目的に反し、同法によって与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用した場合に違法と判断されるものというべき」としています。

そのため、解答は2となります。

 

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