司法試験H26公法系科目第6問―憲法21条2項前段の「検閲」に関して
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H26大問6を解説していきます。
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〔第6問〕(配点:3)
憲法第21条第2項前段の「検閲」に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アか
らウの順に[№10]から[№12])
ア.a.名誉毀損のおそれのある記事を掲載した書籍の販売等を,裁判所の仮処分により事前差止めするのは,「検閲」に該当しない。
b.「検閲」の解釈に当たっては,過去に検閲が行政権により濫用されたという歴史的経緯を踏まえる必要がある。[№10]
イ.a.外国で出版済みの書籍について,輸入禁制品である「公安又は風俗を害すべき書籍」に該当するか否かを税関が検査するのは,「検閲」に該当しない。
b.「検閲」は,表現の自由に対する制約という側面と,この自由と一体をなす知る権利に対する制約という側面がある。[№11]
ウ.a.受刑者の逃走防止等を目的として,その発信しようとする信書の内容を刑務所長が事前に検査するのは,「検閲」に該当しない。
b.「検閲」の禁止は,国民に対する関係では,絶対的に禁止されるが,特殊の法律関係にある者については,異なる取扱いが認められる。[№12]出典
アについて
下記の税関検査事件では憲法21条2項にいう「検閲」の見解が述べられていますが、歴史的な解釈は一切含まれていないため、解答は2となります。以下のものが認められる場合には「検閲に当たるとされています。
- 行制限が主体となって
- 表現物の一部または全部の禁止を目的として
- 表現物を網羅的一般的に発表前に調査し
- 不適当と認めるものの発表を禁止すること
イについて
税関検査事件では海外ですでに発行済みの書籍を検査したことが「検閲」に当たらないとされましたが、税関検査で止められてしまえば日本に入ることはありません。
そのため、これには知る権利に対する制約が課されている言えます。よって、解答は1となります。
ウについて
特別法律関係にある在監者であるとしても「一般市民としての権利」を有していて、その自由を制限する場合には「目的を達成するために真に必要と認められる限度にとどめられるべき」としています。
そのため、解答は2となります。
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