憲法判例【船橋市西図書館蔵書破棄事件】表現の自由

みなさん、こんにちは!

今日は、船橋市西図書館蔵書破棄事件を解説していきます。

判決全文はこちらになります。

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事件

西図書館に勤務していた秘書は、上告人やそれに賛同する者やその著書に対する否定的評価と反感から、独断で除籍対象資料に該当しないのに、コンピューターの蔵書リストから除籍して廃棄しました。

争点

職員の職員が図書の廃棄について不公正な取り扱いをすることと、当該図書の著作物の人格的利益の侵害で国家賠償法上違法となるか。

判決

公立図書館は教養を高める公的な場であり、その職員は公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負うことになります。

そのため、閲覧に供される図書を独断的な評価・個人的な好みで廃棄することは、職員としての基本的な職務上の義務に反するものであるとします。

そして公立図書館が公的な場であることを踏まえると「閲覧に供された図書の著作者によって、その思想、意見等を公衆に伝達する公的な場でもある」と言えるとしました。

結論

職員が「閲覧に供される図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは、当該著作者が著作物によってその思想、意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうもの」である。

また「著作者の思想の自由、表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにかんがみると、公立図書館で、その著作物が閲覧に供されている著作者が有する利益は、法的保護に値する人格的利益である」としました。

→人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となる。

 

司法試験でも出題されています。

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