司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第10問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験憲法H28の第10問を解説していきます。

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〔第10問〕(配点:2)
人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№20])
ア.警察官が,酒気を帯びて車両を運転するおそれがあると認めて呼気検査を求めたのに対し,これを拒否した者を処罰する道路交通法の規定は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない」と定める憲法第38条第1項の規定に違反しない。
イ.刑事被告人は,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する(憲法第37条第2項)から,裁判所は刑事被告人が自身の弁護のために必要であると主張している証人全員の尋問を採用しなければならない。
ウ.有罪判決を受けた刑事被告人に対し,裁判所に出廷させた証人に旅費,日当及び宿泊料を負担させることは,「刑事被告人は,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する」と定める憲法第37条第2項の規定に違反しない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

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上記の判例にあるように、憲法38条1項は刑事上の責任を問われる恐れのある事項について供述を強要されないことを保証しているものです。

呼気検査は運転者から呼気を採取してアルコール保有の程度を調査するもので、運転者の供述を得ようとするものではありません。

そのため、呼気検査を拒んだ者を処罰する道路交通法の規定は、憲法38条1項に違反するものではないとされました。

よって解答は〇となります。

イについて

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採用するか否かは裁判所・裁判官の判断に委ねられていると考えられるので、解答は✖となります。

ウについて

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憲法37条2項の規定は「被告人が判決で有罪の判決を受けた場合にも、被告人に訴訟費用の負担を命じてはならないという趣旨の規定」ではありません。

さらに「有罪の宣告を受けた刑事被告人にも訴訟費用を負担させてはならないという趣意の規定ではない」としました。

そのため、刑事被告人に費用を負担させても、刑訴法・刑訴費用法などの規定が憲法37条2項に違反しないとしました。

よって解答は〇となります。

 

以上、ア=ウ=〇・イ=×で解答は3となります。

 

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