司法試験民法短答式試験過去問H30第23問―【金銭消費貸借】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第23問を解説していきます。

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〔第23問〕(配点:2)
民法上の金銭消費貸借に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№23])
ア.金銭消費貸借の予約は,書面によらなければならない。
イ.貸主が借主の指示する第三者に金銭を交付した場合であっても,金銭消費貸借は効力を生ずる。
ウ.金銭消費貸借において,反対の意思の表示がない限り,貸主は法定利率による利息を請求することができる。
エ.金銭消費貸借において貸主が利息を請求することができる場合,借主は,特約のない限り,元本を受け取った日を含めて利息を支払わなければならない。
オ.金銭消費貸借において,返還場所に関する合意をしなかった場合には,借主は貸主の現在の住所に弁済金を持参して返還をしなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

下記のブログでは「金銭消費貸借の予約は、当事者間で金銭消費貸借の本契約を締結する義務を生じる無方式の諾成契約」と記述されており、予約の方法は「無方式」となっています。

契約において借用証書が効力を持つものであり、予約の効力がないことからこのような規定が導き出されているものと思われます。そのため、解答は✖となります。

イについて

本問題では借主の指示で金銭を第三者に交付しており、これが借主に交付するのと同じ効果を持つものであれば、その消費貸借は有効となると言えます。そうすると、解答は◯となります。

ウについて

民法404条では「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする」と定められていますが、これは利息を請求する際の利率を定めているだけであり、「請求可能」とは言っていません。

そのため、解答は✖となります。

エについて

最高裁昭和33年6月6日判決では「 消費貸借における借主は、特約のない限り、契約成立の日から約定利息を支払うべき義務がある」とされており、元本を受け取った日から支払うことになるため、解答は◯となります。

理由

「消費貸借における利息は、元本利用の対価であり、借主は元本を受け取つた日からこれを利用しうるのであるから」としています。

オについて

民法484条では、弁済の場所が定められていない場合について、特定物の引き渡しは債権発生時にその物が存在した場所・その他の弁済は債権者の現在の住所としているため、解答は◯となります。

以上、ア=ウ=✖・イ=エ=オ=◯なので解答は1となります。

 

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