司法試験民法短答式試験過去問H30第22問―【免除】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第22問を解説していきます。

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〔第22問〕(配点:2)
免除に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№22])
ア.債権者が債務者に免除の意思を表示した場合,免除の効果は,債務者が債権者に対して免除の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
イ.債務の免除があった場合において,債務者が債務の免除を受けたことを忘れて弁済したときは,債務者はその返還を求めることはできない。
ウ.Aに対し,BCDが等しい負担部分で300万円の連帯債務を負っている場合において,AがCについて連帯の免除をしたときでも,B及びDは,Aに対し,300万円の連帯債務を負う。
エ.Aに対し,BCDが等しい負担部分で300万円の連帯債務を負っている場合において,AがCに対して300万円の連帯債務全額について免除をしたときでも,B及びDは,Aに対し,300万円の連帯債務を負う。
オ.主たる債務者について債務の免除があった場合には,連帯保証人の債務は消滅する。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

免除とは債権者の一方的な意思表示によって発生するもので、債務を消滅させることができます。

「一方的な意思表示」であることから債権者の単独行為となり、債務者の意思は問われません。

そのため、解答は✖となります。

イについて

債務の免除がされることで弁済する義務も無くなり、債権者が受領する義務も無くなるはずです。そうすると、必要もないお金を受け取った債権者は返還する必要があるはずですし、債務者も返還を請求することができると解することができるでしょう。

そうすると、解答は✖となります。

ウについて

連帯債務者の一人が連帯の免除を得た場合において、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。

出典『民法第445条 - Wikibooks

民法445条で連帯の免除について示されていますが、これは「相対効」であるとされています。

連帯の免除とは債務者の一人の債務額を限定し、残りの債務者はもともとの債務総額を背負うことを言います。

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ウの問題であれば、BCDはそれぞれ100万円・全部で300万円の連帯債務となりますが、Cに連帯の免除がされるとCは100万円・BとDは300万円の連帯債務という状態になります。

よって解答は〇となります。

エについて

連帯債務の場合において免除は「絶対効」の一つになり、そのため他の債務者にも影響が及びます。

今回の場合では全額免除となっていますので、他の債務者の債務もなくなります。よって、解答は✖となります。

オについて

保証債務は主たる債務があることで成立しているため、主たる債務について免除があった場合には連帯保証人も債務を免れることになります。

そのため、解答は〇となります。

以上、ア=イ=エ=✖・ウ=オ=◯なので解答は4となります。

 

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