司法試験民法短答式試験過去問H30第33問―【相続の承認・放棄】
みなさん、こんにちは!
今日は、民法過去問H30の第33問を解説していきます。
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〔第33問〕(配点:2)
相続の承認又は放棄に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№33])
ア.相続の放棄をした者は,その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで,善良な管理者の注意をもって,その財産の管理を継続しなければならない。
イ.共同相続人に強迫されて相続の放棄をした者は,その旨を家庭裁判所に申述して放棄の取消しをすることができる。
ウ.相続人Aが相続の放棄をしたことにより相続人となったBが相続の承認をした場合であっても,Bの承認後にAが私に相続財産を消費した場合には,Aは単純承認をしたものとみなされる。
エ.限定承認者は,相続債権者及び受遺者に対する公告の期間の満了前には,相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
オ.共同相続人のうち一人が相続の放棄をした場合,他の共同相続人は限定承認をすることができなくなる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ出典
アについて
創造放棄をした者はそれ以降なにも関係がなくなりそうですが、実は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって財産管理を継続しないといけません(民法940条)。
善管注意義務とはなっていないので、解答は✖となります。
イについて
相続放棄は原則として取消が不可能ですが、詐欺または強迫による相続放棄の場合には取り消すことが可能です。
そのため、解答は〇となります。
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ウについて
民法921条では相続人が単純承認したものとみなす事例が定められています。
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
ここで、3項にあるように相続人が相続の放棄をした後に相続人となった者が相続の承認をした後は、単純承認とはならないとしています。
そのため、解答は✖となります。
エについて
限定承認者は927条1項に定める期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができます(民法928条)。
よって、解答は〇となります。
オについて
相続放棄をした者はその相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
そのため、相続人の一人が相続放棄をしても最初からいなかったものとなるため、残りの相続人だけで限定承認を行うことも可能です。
そのため、解答は✖となります。
以上、イ=エ=〇・ア=ウ=オ=×なので解答は3となります。
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