司法試験民法短答式試験過去問H30第34問―【相続人の不存在】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第34問を解説していきます。

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〔第34問〕(配点:2)
相続人の不存在に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№34])
ア.相続人があることは明らかでないが,相続財産全部の包括受遺者があることは明らかである場合には,相続財産法人は成立しない。
イ.相続財産法人が成立し,家庭裁判所によって相続財産の管理人が選任された後に,相続人のあることが明らかになった場合には,その時点で,相続財産管理人の代理権は消滅する。
ウ.共有者の一人が相続人なくして死亡した場合において,相続債権者及び受遺者に対する清算手続が終了したときは,その共有持分は他の共有者に帰属し,特別縁故者への財産分与の対象にはならない。
エ.相続人は,相続人の捜索の公告の期間内に相続人としての権利を主張しなかった場合には,特別縁故者に対する相続財産の分与後,残余財産があったとしても,相続権を主張することができない。
オ.家庭裁判所は,特別縁故者に対して相続財産の分与をする場合,清算後残存すべき相続財産の全部を与えることはできない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

相続人のあることが明らかでない場合には相続財産は法人とされますが(民法951条)、最高裁平成9年9月12日の要旨では以下のように述べられています。

 遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、民法九五一条にいう「相続人のあることが明かでないとき」に当たらない。

出典『裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

包括受遺者が存在する場合には民法951条に該当しないとされるため、解答は〇となります。

イについて

相続財産管理人の代理権は、相続人が相続の承認をしたときに消滅します(民法956条)。よって、解答は✖となります。

ウについて

共有持ち分は当然に他の共有者に移転するものではなく、特別縁故者に対する財産分与の請求がある場合には残る相続財産の全部又は一部を与えることができます(民法958条の3)。

よって、解答は✖となります。

エについて

958条で定められている公告期間内に権利を主張する者がない場合には、相続人や相続財産管理人に知られなかった相続債権者及び受遺者はその権利を行使することができません(民法958条の2)。

よって解答は〇となります。

オについて

家庭裁判所は特別縁故者に対して清算後残存すべき相続財産の全部または一部を与えることができます(民法958条の3)。

よって、解答は✖となります。

以上、ア=エ=〇・イ=ウ=オ=×なので解答は2となります。

 

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