司法試験民法短答式試験過去問H30第36問―【混同】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第36問を解説していきます。

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〔第36問〕(配点:2)
混同に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№36])
ア.債権質に供されている債権を債務者が相続したときは,当該債権は消滅する。
イ.賃貸人たる地位と転借人たる地位とが同一人に帰属した場合,転貸借関係は消滅する。
ウ.連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは,当該連帯債務者は弁済をしたものとみなされ,他の連帯債務者に対して負担部分の割合に応じて求償することができる。
エ.甲土地の賃借権が対抗要件を具備した後に,甲土地に抵当権が設定された場合において,甲土地の所有権と賃借権が同一人に帰属するに至ったときは,賃借権は消滅する。
オ.保証人が債権者を相続したときは,保証債務は消滅する。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

イについて

 賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であつても、転貸借は、当事者間にこれを消滅させる合意の成立しない限り、消滅しないものと解すべきである。

出典『裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

上記判例で述べられているように、賃貸人の地位と転借人の地位が同一人に帰属したとしても、転貸借関係は必ずしも消滅しません。

よって、解答は✖となります。

ウについて

連帯債務で混同があった場合は「絶対効」で債務はなくなるため、混同をした連帯債務者の一人は他の連帯債務者に自己の負担分に基づく求償権を有することになります。

よって、解答は〇となります。

エについて

所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属した時はその権利は消滅しますが、そえが第三者の権利の目的である場合には消滅しません(民法179条2項)。

よって、解答は✖となります。

オについて