司法試験民法短答式試験過去問H30第26問―【委任】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第26問を解説していきます。

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〔第26問〕(配点:2)
委任に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№26])
ア.無償委任の受任者は,自己のためにするのと同一の注意をもって,委任事務を処理しなければならない。
イ.受任者は,いつでも,第三者に委任事務の処理を委託することができる。
ウ.受任者は,委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは,委任者に対し,その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
エ.委任は,受任者が後見開始の審判を受けたときは,終了する。
オ.受任者は,やむを得ない事由がなければ,委任契約を解除することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負うとされています(民法644条)。

この委任には有償委任・無償委任どちらも含まれるとされており、善管注意義務をもって委任事務を処理しないといけません。

よって、解答は✖となります。

イについて

受任者

受任者は民法644条「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」で示されているように、善管注意義務を負うことになります。

請負人

請負人は民法632条「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」で示されるように、目的物を完成させる義務を負います

この両者の違いを見て分かるように、受任者は目的物を完成させるよりも、その目的物を管理する善管注意義務に重点が置かれるのであり、それをさらに委託することはこの義務に反していると考えられます。

そのため、解答は✖となります。

ウについて

受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求できます(民法650条1項)。

そのため、解答は◯となります。

エについて

委任契約は、委任者が後見開始の審判を受けたことも終了事由に入るとされています(民法653条)。よって、解答は〇となります。

オについて

委任の当事者はいつでも解除を行うことができます(民法651条1項)。そのため、委任者と受任者の双方からいつでも解除することが可能となります。

よって、解答は✖となります。

以上、ア=イ=オ=✖・ウ=エ=◯なので解答は4となります。

 

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