司法試験民法短答式試験過去問H30第24問―【使用貸借】
みなさん、こんにちは!
今日は、民法過去問H30の第24問を解説していきます。
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〔第24問〕(配点:2)
使用貸借に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№24])
ア.建物の使用貸借において,目的建物に瑕疵があり,貸主がそれを知らなかったことについて過失がある場合には,貸主は担保責任を負う。
イ.Aの共同相続人の一人であるBが相続開始前からAの許諾を得て遺産である建物においてAと同居していた場合,BはAの死亡時から遺産分割により当該建物の所有関係が最終的に確定するまでの間であっても,当該建物を無償で使用することができない。
ウ.建物所有者AとBの間で,Aの海外赴任中に限り無償でその所有建物をBが借り受ける旨の合意をしたが,その引渡し前に,Aが第三者Cと賃貸借契約を締結して当該建物を引き渡した場合,BはAに対して,使用貸借契約に基づく債務の不履行による損害賠償請求をすることができない。
エ.借主が有益費を支出した場合において,その価格の増加が現存するときは,貸主は,その選択に従い,借主が支出した金額又は増価額のいずれかを償還すれば足りる。
オ.借主が貸主に無断で第三者に借用物を引き渡して使用させたときは,貸主は,借主に対して,催告をしなければ,契約を解除することができない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ出典
アについて
使用貸借における貸主の担保責任は、贈与に関する民法551条が適用されるとしています(民法596条)。
そのため、貸主は瑕疵や不存在について責任を負いませんが、瑕疵や不存在を知りながら借主に告げなかった場合は責任を負うことになります。
そのため、解答は✖となります。
イについて
最高裁平成8年12月17日判決では、遺産である建物に被相続人と同居してきたときは、特段の事情がない限り、被相続人の死亡で相続が開始した後も、遺産分割で所有関係が確定するためでは相続人にこれを無償で使用させる合意があったと推認されるとしました。
そのため、解答は✖となります。
ウについて
使用貸借は登記を備えていないことで対抗力がないため、本件の様に賃借権と使用貸借の優劣を決める際には、先に占有していればいいはずです。そのため、解答は◯となります。
エについて
民法595条では民法583条2項の「買戻し権者に対する費用償還請求権」の規定を必要費以外の費用について準用するとしています。
そのため、借主は特別な必要費や有益費や借主に対して償還請求を行うことができます。
よって、解答は〇となります。
オについて
借主は貸主の承諾を得ずに第三者に借用物の使用・収益をさせることができず(民法594条)、承諾を得ずに使用・収益をした場合には、貸主は契約の解除を行うことができます(民法594条)。
そのため、解答は✖となります。
以上、ア=イ=オ=✖・ウ=エ=◯なので解答は4となります。
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