司法試験民法短答式試験過去問H30第15問―【根抵当権】
みなさん、こんにちは!
今日は、民法過去問H30の第15問を解説していきます。
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〔第15問〕(配点:2)
根抵当権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№15])
ア.元本の確定前において債務者を変更するには,後順位の抵当権者の承諾を得なければならない。
イ.根抵当権者は,担保すべき元本の確定すべき期日の定めがない場合,いつでも,担保すべき元本の確定を請求することができる。
ウ.根抵当権者は,根抵当権を実行した場合,当該競売手続において極度額を超える部分について配当を受けることはない。
エ.根抵当権の極度額の減額をするには,利害関係を有する者の承諾を得ることを要しない。
オ.元本の確定後においては,根抵当権設定者は,その根抵当権の極度額を,現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ出典
アについて
元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
民法398条の4にあるように元本確定前の債務者の変更は
- 後順位の抵当権者
- その他の第三者
の承認を得ることを必要としていません。そのため、解答は✖となります。
イについて
根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
根抵当権設定者は、根抵当権の設定から3年を経過した時に、担保すべき元本の確定を請求できますが、根抵当権者は「いつでも」担保すべき元本の確定を請求できます。
そのため、解答は〇となります。
ウについて
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
根抵当権者は極度額を限度として根抵当権を行使できる=極度額を超えた部分については優先弁済を受けることができません。
そのため、解答は〇となります。
エについて
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
民法398条の5では、根抵当権の極度額の変更には利害関係を有する者の承諾を得る必要があるとされています。
よって、解答は✖となります。
オについて
元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
民法398条の21では、原本確定後の根抵当権の極度額を減額することをできる旨が定められています。
よって、解答は〇となります。
以上、ア=エ=×・イ=ウ=オ=〇ですので解答は2となります。
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