司法試験民法短答式試験過去問H30第4問―任意代理
みなさん、こんにちは!
今日は、民法過去問H30の第4問を解説していきます。
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〔第4問〕(配点:2)
任意代理に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№4])
ア.特定の法律行為をすることを委託された代理人が本人の指図に従ってその行為をした場合,本人は,自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない。
イ.権限の定めのない代理人は,保存行為をする権限のみを有する。
ウ.代理人が相手方と通謀して売買契約の締結を仮装した場合,相手方は,本人がその通謀虚偽表示を知っていたか否かにかかわらず,当該売買契約の無効を主張することができる。
エ.代理人が保佐開始の審判を受けたときは,代理権は消滅する。
オ.代理人が相手方と売買契約を締結した後,その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても,本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ出典
アについて
民法101条2項では
特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
としています。よって、解答は〇となります。
イについて
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
権原の定めのない代理人は保存行為に加えて利用・改良を目的とする行為に関しても権原を有しています。
そのため、解答は✖となります。
ウについて
エについて
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
この二つは法定代理・任意代理の代理権が消滅する共通の要因となっていて、「後見開始」であり「保佐開始」ではありません。
そのため、解答は✖となります。
オについて
代理人は、行為能力者であることを要しない。
代理人は行為能力者だけではなく、制限行為能力者でもよいとされています。そのため、代理人が制限行為能力者であることを理由に行為を取り消すことはできません。
よって解答は〇となります。
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