司法試験民法短答式試験過去問H30第一問

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第一問を解説していきます。

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 〔第1問〕(配点:2)
胎児に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№1])
ア.胎児を受贈者として死因贈与をすることはできない。
イ.胎児を受遺者として遺贈をすることはできない。
ウ.胎児の父は,胎児の母の承諾を得ても,胎児を認知することはできない。
エ.胎児の母は,胎児を代理して認知の訴えを提起することはできない。
オ.胎児のときに不法行為を受けた者は,出生前にその父母が胎児を代理して加害者とした和解に拘束される。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

死因贈与は贈与者と受贈者の合意で成立する契約です。

出典『「遺贈」と「死因贈与」はどこが違う?メリット・デメリットは? | 遺産相続弁護士相談広場

遺贈は一方的に行える行為ですが、死因贈与の場合には贈与者・受贈者の合意で成立する契約となっています。 

民法には胎児を受遺者とする規定はないため、解答は〇となります。

 

イについて

胎児は相続と同様に遺贈についても「すでに生まれたものとみなされる」ので、胎児に遺贈することができます。

よって解答は✖となります。

胎児の相続権/例外的に胎児が相続人として認められる理由

 

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ウについて

父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。

出典『民法第783条 - Wikibooks』 

これは「胎児認知」と言われるもので、通常認知は母親の承諾がなくても認知することができます。

よって、解答は✖となります。

エについて

子供が胎児の場合には母親が代理して認知の訴えを提起することは許されていないため、解答は〇となります。

オについて

判例では胎児に権利能力がないとする「停止条件説」を採用しており、母親は和解契約を結ぶことはできないとされています。

仮に結んだとされても、胎児に権利能力がないことで当事者とされないので、胎児がその和解に拘束されることはありません。

よって、解答は✖となります。

以上、ア=エ=〇・イ=ウ=オ=×ですので解答は2となります。

 

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