司法試験民法短答式試験過去問H30第13問―【抵当権の効力】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第13問を解説していきます。

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〔第13問〕(配点:2)
抵当権の効力に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№13])
ア.抵当不動産についてその所有者から地上権を買い受けた第三者が,抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは,抵当権は,その第三者のために消滅する。
イ.主たる債務者の承継人は,抵当権消滅請求をすることができない。
ウ.建物の賃貸借は,その登記がなくても,建物の引渡しがあったときは,その引渡し前に登記をした抵当権を有する全ての者が同意をし,かつ,その同意の登記があれば,その同意をした抵当権者に対抗することができる。
エ.抵当不動産をその所有者から買い受けた者は,その不動産について必要費を支出した場合において,抵当権の実行によりその不動産が競売されたときは,その代価から最先順位の抵当権者より先にその支出した額の償還を受けることができる。
オ.抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である土地を使用収益する者は,抵当権の実行によりその土地が競売された場合,買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは,その土地を買受人に明け渡す必要がない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

出典『民法第378条 - Wikibooks

民法378条にあるように、第三者は抵当権者の請求に応じて代価弁済を行った時は、抵当権は消滅するとされています。

よって、解答は〇となります。

イについて

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

出典『民法第380条 - Wikibooks

民法380条にあるように

  • 主たる債務者
  • 保証人
  • これらの承継人

は抵当権消滅請求をすることができません。そのため、解答は〇となります。

 

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ウについて

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

民法387条では賃借権の先順位抵当権者に優先する同意の登記について定められていますが、対抗できる登記をするには以下の要件が定められています。

  1. 登記のある賃借権であること
  2. 抵当権者の同意を得ること
  3. 利害関係人の承諾を得ること
  4. 同意の登記をすること

そうすると、本問題では1に該当していないことが明らかなので、解答は✖となります。

参考:『民法物権 第387条【抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力】 | 司法書士合格クレアール

エについて

抵当不動産が競売された場合には、第一順位の抵当権者から順に受け取っていくことになりますが、抵当不動産の必要費や有益費を支出していた者がいた場合には、第一順位の抵当権者より優先して償還を受けることができます。

よって、解答は〇となります。

オについて

民法395条1項

抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

このように定められていますが、建物を使用収益する者は抵当権実行後に6か月の猶予期間がありますが、土地を使用収益する者は6か月の猶予期間が認められていないため、解答は✖となります。

以上、ア=イ=エ=◯・ウ=オ=✖なので解答は4となります。

 

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