司法試験平成29年民法短答式試験第18問【連帯債務】

みなさん、こんにちは!

今日は、【連帯債務】の問題を解説します。

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〔第18問〕(配点:2)
連帯債務に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№18])

ア.連帯債務者の一人について弁済期を他の連帯債務者と異にすることはできない。

イ.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,他の連帯債務者は従来の債務を免れ,更改によって新たに発生した債務について責任を負わない。

ウ.AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において,Aが債務全額の弁済をしたが,Bに対する通知を怠ったため,Bは,Aの弁済を知らなかった。この場合において,その後CがBに対し債務の履行を請求し,これに応じてBが債務全額の弁済をしたときは,BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったとしても,Bは,Aに対し,自己の弁済が有効である旨主張することができる。

エ.連帯債務者の一人が債務を承認したことによる時効中断の効力は,他の連帯債務者には及ばない。

オ.AとBがCに対して連帯債務を負う旨の契約をCとの間で締結した場合において,契約締結の当時Aが意思無能力であったときは,Bは,Aの負担部分について債務を免れる。

1.ア ウ 2.ア オ

3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

 

アについて

連帯債務者の弁済期は異なっていてもいいので、アの答えは✖となります。 

イについて

AとBが連帯債務者でCが債権者だとします。AC間で更改があった際には、BのCへの債務はなくなります。その代わりに、Aへの求償債務が生じることになります。

よってイは〇となります。

 

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ウについて

連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。

民法第443条 - Wikibooks

連帯債務者の弁済が重なった時には443条1項2項の適用がありますが、事前・事後通知のどちらもなかった際には、適用がありません。

そのため、原則通り最初の債務者の弁済が有効になります。よってウの答えは✖となります。

エについて

時効中断の効力は「相対的効力」とされており、つまりその債務者との間のみで生じ、他の連帯債務者との間で生じることはありません。

よってエは〇となります。

オについて

連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。

民法第433条 - Wikibooks

 「その効力を妨げられない」というのは、他の連帯債務者と債権者との関係は有効に成立しているということです。

そして、連帯債務者の一人に無効・取消があった場合には、他の連帯債務者がその分の責任を負うことになります。Aが500万円・Bが500万円でAが無効になった場合には、Bが500万円になるということです。

そうするとオは✖となります。

よってア=ウ=オ=×・イ=エ=〇なので4が正解となります。

 

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