司法試験過去問解説平成27年憲法短答式試験第一問 【国家公務員法の政治的行為】

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第1問

〔第1問〕(配点:2)
国家公務員法第102条第1項にいう「政治的行為」の意義について判断した最高裁判所の二つの判決(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号1337頁及び同1722頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№1])
ア.「政治的行為」とは,公務員の政治的な行為一般ではなく,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指す。
イ.管理職的地位にある公務員が政党機関紙の配布といった殊更に一定の政治的傾向を顕著に示す行動に出た場合には,その指揮命令や指導監督を通じてその部下等の職務の遂行や組織の運営にもその傾向に沿った影響を及ぼすことになりかねず,「政治的行為」に該当する。
ウ.公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが認められるか否かは,諸般の事情を総合して判断する必要があるが,公務員の政治的な行為が勤務外で行われた場合には,そのおそれは存在しないと考えられる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題の出典はこちらになります。

解答の出典はこちらになります。

最高裁平成24年12月7日判決はこちらになります。

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アについて

判決では

「政治的行為」とは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められるもの

出典『http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/801/082801_hanrei.pdf

としています。よって、解答は〇となります。 

イについて

本件は、管理職の地位にない職務に権限の余地のない公務員によって行われたものであり、政治的中立性を損なうおそれがあったとは認められないとされました。

つまり、管理職の地位にある者が政党のビラ配布などの行為に出た場合には、政治的中立性を損なうおそれがあると考えられるので、解答は〇となります。

ウについて 

公務員の政治的行為が勤務外で行われたとしても、公務員として認識するに足りる事情があり、公務員としての行為として認識されることがあり、その場合は政治的中立性を損なうおそれがあることは明らかです。

よって、解答は✖となります。

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