司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第5問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験憲法H28の第5問を解説していきます。

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〔第5問〕(配点:3)
信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は,アからウの順に[№9]から[№11])
ア.神社において死者の合祀を行うことが遺族である配偶者の心の静謐を害する場合,その遺族は,静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益である宗教的人格権を侵害されたと主張して,損害賠償を請求できる。[№9]
イ.僧侶が病者の平癒を祈願して加持祈祷を行うに当たり,病者の手足を縛って線香の火に当てるなどして同人を死亡させることは,医療上一般に承認された治療行為とは到底認められず,信教の自由の保障の限界を逸脱したものであって許されない。[№10]
ウ.宗教法人法の解散命令によって宗教法人を解散しても,信者は,法人格を有しない宗教団体を存続させたり宗教上の行為を行ったりすることができるので,宗教上の行為を継続するに当たり何ら支障はない。[№11]

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

判例は自衛官護国合祀事件となります。

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最高裁は「私人がした宗教上の行為によつて信仰生活の静謐が害されたとしても、それが信教の自由の侵害に当たり、その程度、態様が社会的に許容しうる限度を超える場合でない限り、法的利益が侵害されたとはいえない」としました。

ここからも分かるように、静謐の自由は人格権ではなく法的利益として認められていません。

そのため、損害賠償もできないので解答は2となります。

イについて

判例は加持祈祷事件となります。

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本件判例の加持祈祷は、医療上で承認された治療行為とは言えず、被害者を死に至らしめたことは著しく反社会的であり、信教の自由の保障を逸脱したものであるとされました。

よって、解答は1となります。

ウについて

判例はオウム真理教解散命令事件となります。

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最高裁は「「解散命令は宗教団体であるオウム真理教やその信者らの精神的・宗教的側面に及ぼす影響を考慮しても、抗告人の行為に対処するのに必要でやむをえない法的規制であるということができる」としました。

解散命令は必要かつ合理的でやむを得ないものであるとしましたが、解散命令によって団体の行う行為などに支障が出るとしています。

よって解答は2となります。

 

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