司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第17問
みなさん、こんにちは!
今日は司法試験憲法H28の第17問を解説していきます。
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〔第17問〕(配点:3)
違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№31]から[№33])
ア.第三者の所有物を没収する言渡しを受けた被告人は,当該第三者の権利を援用して,所有者に対し何ら告知,弁解,防御の機会を与えることなくその所有権を奪うことは憲法に違反する旨主張することはできない。[№31]
イ.嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の規定は,遅くとも同規定が違憲とされた事案の被相続人の相続が開始した時点において,憲法第14条第1項に違反していたとする最高裁判所の決定は,当該事案限りのものであって,先例としての事実上の拘束性はない。[№32]
ウ.日本国民である父と外国人である母との間に生まれた嫡出でない子につき,父母の婚姻及びその認知等所定の要件を備えた場合に届出により日本国籍が取得できる旨定めた国籍法(平成20年法律第88号による改正前のもの。以下同じ。)第3条第1項は,憲法第14条第1項に違反するが,血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた国籍法の趣旨に照らし,同法第3条第1項を全部無効とする解釈は採り得ない。[№33]
アについて
判例は第三者所有物没収事件判決になります。
第三者の所有物を第三者になんら告知することなく没収したことは、憲法29条・31条に違反するとされました。
また、被告人は第三者所有物の没収が違憲であることを上告理由にできるのは当然であるともされています。
よって、アは2となります。
イについて
判例は非嫡出子法定相続分規定事件となります。
非嫡出子法定相続分規定事件は非嫡出子の法定相続分が嫡出子の2分の1とされていたことが憲法14条1項に違反するとされました。
そして、非嫡出子と嫡出子の法定相続分を同じにするように法改正が行われている法令違憲の判例となります。
ここから「適用違憲」ではないことが分かるため、解答は2となります。
ウについて
判例は国籍法違憲判決になります。
国籍法は憲法14条1項に違反しますが、国籍法3条の全部無効とはならず法令違憲として国籍法3条の「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子」という部分が「父又は母が認知した子」に改正されました。
よって、解答は1となります。
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