司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第16問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験憲法H28の第16問を解説していきます。

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〔第16問〕(配点:2)
内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№30])
ア.大日本帝国憲法において内閣総理大臣は同輩中の首席にすぎなかったのに対し,日本国憲法が内閣総理大臣に首長としての地位を認め,その権限を強化しているのは,内閣の一体性と統一性を確保し,内閣の国会に対する連帯責任の強化を図るものである。
イ.判例によれば,内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても,少なくとも内閣の明示の意思に反しない限り,行政各部に対し,随時その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導,助言等の指示を与える権限を有する。
ウ.内閣は,憲法第73条第1号により法律を執行する義務を負うから,たとえ内閣が違憲と判断する法律であっても,その法律を執行しなければならず,また,最高裁判所が違憲と判断した場合でも,国会がその法律を改廃しない限りは,その執行をしなければならない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

「同輩中の首席」として権限が与えられていなかったが、首長としての地位を認めて権限を強めることで、総理大臣をトップとする内閣の連帯感を生みだすことができます。

また、首長・権限を認め内閣の一体性を保つことで、国会に対して「連帯」して責任を負うことにもつながると言えるでしょう。そのため、解答は◯となります。

 

イについて

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判例では内閣総理大臣の地位や内閣法に照らしたうえで「流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有する」と述べています。

ここから分かるように、内閣総理大臣は内閣の意思に反しない限り、所掌事務についての指導・助言等の権限を有していますので、解答は◯となります。

ウについて

違憲判決が出された法律をそのまま執行し続けることは、その法令が適用されなくなっているのに適用されたというように、国民の期待を裏切ることにもなりかねません。

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実際、尊属殺について違憲判決が出てからは尊属殺を適用していなかったようです。そのため、解答は✖となります。

以上、ア=イ=◯・ウ=✖なので解答は2となります。

 

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