司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第2問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験H28 憲法第2問を解説していきます。

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〔第2問〕(配点:2)
憲法の明文で規定されていない権利・自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№4])
ア.前科は人の名誉,信用に直接関わる事項であり,前科のある者もこれをみだりに公開されないという法的保護に値する利益を有するが,「裁判所に提出するため」との申出理由の記載があれば,市区町村長が弁護士法に基づく照会に応じて前科を報告することは許される。
イ.大学が講演会を主催する際に集めた参加学生の学籍番号,氏名,住所及び電話番号は,個人の内心に関する情報ではなく,大学が個人識別を行うための単純な情報であって,秘匿の必要性が高くはないから,プライバシーに係る情報として法的保護の対象にならない。
ウ.個人の私生活上の自由の一つとして,何人もその承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するが,速度違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置による写真撮影は,犯罪捜査の必要性・相当性があるから,本人の同意や裁判官の令状がなくても許される。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

判例は前科照会事件になります。

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前科照会事件で弁護士が照会をする事由が「中央労働委員会、京都地方裁判所に提出するため」としかありませんでした。

前科などは公表しないことが望ましいのであり、公表する場合には慎重性が必要とされるにもかかわらず、本件では市区町村長がその求めに応じて前科などをすべて報告しており、それは公権力の違法な行使とされました。

よって解答は✖となります。

 

イについて

判例は早稲田大学江沢民講演会事件になります。

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本件判例では、名簿などに記載する情報としての重要性は高くはないが、それを許可していない他人に見られたくないとするのは自然なことだとされました。

その点から、本件のような情報もプライバシーにかかわる情報とされ、法的保護の対象となり、学生に告知せず警察に情報を渡した大学の行為は不法行為とされました。

よって、解答は✖となります。

 

ウについて

判例は自動速度監視装置事件になります。

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自動車の写真撮影は「現に犯罪が行われているときになされている」のであり、犯罪の性質・態様からして、すぐに証拠を取っておくことが必要とされます。

また、その方法も一般的な限度を超えないものであるため、解答は〇となります。

以上、ア=イ=×、ウ=〇であるため解答は7となります。

 

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