司法試験過去問解説平成27年憲法短答式試験 第2問【法の下の平等】

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク

 

第2問

〔第2問〕(配点:3)
法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№2]から[№4])
ア.憲法第14条第1項の「社会的身分」とは,人が社会において占める継続的な地位をいうから,高齢であることはこれに当たらないので,町長が町職員の余剰を整理する際,高齢のみを基準として対象者を選択しても,平等原則には反しない。[№2]
イ.併給調整条項の適用により,障害福祉年金を受けることのできる者とそうでない者との間に児童扶養手当の受給に関して差別が生じても,両給付が基本的に同一の性格を有し,併給調整に立法裁量があることなどに照らすと,合理的理由のない不当なものとはいえない。[№3]
ウ.租税法の定立は立法府の政策的,技術的判断に委ねるほかないから,この分野における取扱いの区別は,立法目的が正当であり,かつ,区別の態様が立法目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り,憲法第14条第1項に違反するとはいえない。[№4]

問題の出典はこちらになります。

解答の出典はこちらになります。

アについて

判例は立山町高齢者職員処分事件となります。

www.eityan-houritu.site

最高裁では

右各法条は、国民に対し、法の下の平等を保障したものであり、右各法条に列挙された事由は例示的なものであって、必ずしもそれに限るものではないと解するのが相当である

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面』 

としたうえで、原審が「高齢」を社会的身分に含まないとした判断は妥当とは言えないとしました。

しかし、法の下の平等が「絶対的平等」を意味していることから、差別する際には合理的な理由があれば差別的に扱うことも許されるとしています。

その結果、本件判例では高齢者を理由とした処分が違法ではないとされているので、解答は2となります。

イについて

判例は堀木訴訟となります。

www.eityan-houritu.site

この種の立法における給付額の決定も,立法政策上の裁量事項」で給付額が低額という理由から必ずしも憲法25条に違反せず、差別が生じたとしても諸政策を考慮すると憲法14条には違反しないとしています。

年金などは国の財源なども関係していることから、併給禁止規定は国の立法裁量に任されており、それが明らかに合理性を欠いている場合には司法審査の対象となることが示されました。

よって解答は1となります。

ウについて 

判例は所得税決定取消処分事件となります。

www.eityan-houritu.site

最高裁は

租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様が右目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、その合理性を否定することができない

出典『http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/662/052662_hanrei.pdf

としたうえで、所得税法は憲法14条1項に違反しないとしました。よって、解答は1となります。

スポンサードリンク