司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第3問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験憲法H28の第3問を解説していきます。

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〔第3問〕(配点:2)
法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№5])
ア.憲法は,外国人を日本国民と全く平等に扱うことまでは要求していないが,我が国に入国する全ての外国人に対し,法律により,日本国民と異なる規制を設けることは,人種的な差別をする趣旨ではなくても,憲法第14条第1項後段の「人種」による差別として許されない。
イ.選挙権の平等には各選挙人の投票価値の平等も含まれるが,国会によって定められた選挙制度における投票価値が不平等であっても,その不平等が国会の有する裁量権の行使として合理的と認められるのであれば,憲法第14条に違反しない。
ウ.条例においては,一定の取締規定を設け,法律による委任の範囲で,その違反に対する罰則を規定することが許されるが,禁錮又は懲役の刑は,全国一律に規律すべきものと解されるので,それぞれの条例の間で法定刑が異なる場合は,憲法第14条に違反する。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

入国する外国人には「指紋の押捺」が義務付けられていますが、それはテロの未然防止という利益の大きいものであり、それは取扱いの差別であっても公共の利益が優先されることになると考えられます。

そのため、解答は✖となります。

イについて

判例では

  • 「投票価値の平等は,選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく,国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきもの」
  • 「国会が具体的に定めたところがその裁量権の行使として合理性を有するものである限り,それによって投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められることになっても,やむを得ないもの」

以上のように、投票価値とは調和的に実現されるべきもので、国会が定めたものが裁量権の行使として具体的に合理性を有していれば、投票価値が不平等となってもやむを得ないとしています。

そのため、解答は◯となります。

 

 

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ウについて

判例は徳島市公安条例事件となります。

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本件判例では、条例の罰則が道路交通法よりも重く定められていたことが憲法14条に違反しないかが争点となりました。

ただ、判決では

 「国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規定を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令を条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく条例が国の法令に違反する問題は生じない

と述べており、条例で罰則を重く定めても、必ずしも国の法令との矛盾は生じないとしました。

そのため、解答は✖となります。

以上、✖◯✖で解答は6となります。

 

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