司法試験憲法短答試験過去問解説H29第15問 【国会の立法手続き】に関する問題
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験憲法過去問第15問を解説します。
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〔第15問〕(配点:2)
国会の立法手続に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№32])ア.国会の活動につき,憲法は,常会(第52条),臨時会(第53条),特別会(第54条第1項)というように一定の期間を単位として行う会期制を採用し,国会法は,会期内に議決に至らなかった議案は後会に継続しないという会期不継続の原則を採用している。
イ.国会の議事手続については両議院の自主性を尊重すべきであるから,裁判所としては,法律制定の議事手続に関する事実を審理して当該法律の有効無効を判断すべきではないというのが判例の立場である。
ウ.内閣の法律案提出権が認められるのは,議院内閣制においては国会と内閣との協働が当然に要請されており,憲法第72条の「議案」に法律案も含まれるからであるとの立場に立ったとしても,法律により内閣の法律案提出権を否定することができる。
1.ア〇 イ〇 ウ〇
2.ア〇 イ〇 ウ×
3.ア〇 イ× ウ〇
4.ア〇 イ× ウ×
5.ア× イ〇 ウ〇
6.ア× イ〇 ウ×
7.ア× イ× ウ〇
8.ア× イ× ウ×
アについて
国会法による規定
・常会(国会法52条)
・臨時会(53条)
・特別会(54条)
国会の原則
会期不継続の原則(68条)
国会の審議で議決に至らなかった案件は、後会に継続しない原則のことを言います。
ただ、通常は継続しませんが、懲罰事犯の場合には例外的に継続すると定められています。
一時不再議の原則
これは、一度否決した案件を同一会期中にもう一度審議しない原則のことを言います。
これには、明文規定がありませんが、国会の一つの慣習として認識されています。
両院独立活動の原則
憲法が衆議院・参議院の2院制を採用しているため、明文化されないものの独立して活動することが求められています。
この原則の例外として、決議が異なった際に行われる両院協議会が挙げられるでしょう。
話が長くなりましたが、アの会期不継続の原則の文章は上記に合致しているため、「〇」となります。
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イについて
判決では、裁判所は国会の判断を尊重すべきであり、その法律の制定過程も適切になされたと判断すべきとしています。
そのため、イの答えは「〇」となります。
裁判所が法律の有効無効を判断しなかった例として、警察法改正無効事件が挙げられるので併せて覚えておきましょう。
ウについて
法律は国会でしか定められない気もしますが、内閣にも法律案の提出は認められています。
これは、日本が議院内閣制を採用しており、両者の協調体制が求められるからです。
問題文では、議案に法律案が含まれるとしても、(国会の)法律によって内閣の議案提出権を否定できるとします。
しかし、もし国会が内閣の法案提出権を否定し、議院内閣制を損なうような法律を制定したらどうなるでしょうか。
そうなったら、国会が有利な立場に立つことで内閣は国会の下に置かれることは間違いありませんし、内閣の権利を制限していることが明らかです。
そのため、法律の制定で内閣の法案提出権を否定することは許されず、ウの答えは「×」となります。
以上、ア=イ=〇でウ=×となるため答えは「2」となります。
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