司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第12問

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法第12問を解説します。

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 問題

〔第12問〕(配点:3)
天皇及び皇室に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№27]から[№30])

ア.天皇が,法律の定めるところにより,国事行為を委任する場合,この委任行為自体は明らかに国事行為ではないから,内閣の助言と承認を要しない。[№27]

イ.国事行為は,形式的・儀礼的な行為であるため,国事行為としての天皇の行為がなくても,政令の公布や国会の召集の法的効力は発生する。[№28]

ウ.摂政は,天皇の名で国事行為を行う天皇の法定代理機関であり,天皇が未成年のときなど皇室典範に定める原因が生じることにより設置される。[№29]

エ.憲法第88条は,すべて皇室財産は国に属すると規定しており,皇室が私有財産を保有したり運用したりすることは禁じられている。[№30]

http://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf 』

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解説

①アについて

天皇は憲法4条に基づいて国事行為を委任することができますが、委任する勅書・委任を解除する勅書の交付は、国事行為と考えられています。

そのため、天皇の国事行為には助言と承認を必要としますから、答えは「2」となります。

※委任自体が国事行為ではないとする説もある

②イについて

憲法7条には天皇の国事行為として、「憲法改正、法令、政令及び条約を公布すること」が定められています。

法令・政令などは国会で成立していますから、天皇の国事行為は儀式的・儀礼的な行為です。

しかし、天皇の国事行為「公布=国民に知らしめること」によって成立していた法令・政令なども、初めて効力を生じます。

そのため、天皇の国事行為として「公布」がなければ効力は生じないため、答えは「2」となります。

③ウについて

通説では摂政は天皇が自ら国事行為を行えない場合に置かれる法定代理機関とされます。

皇室典範16条2項では摂政が置かれる場合として、天皇が未成年のとき・天皇が精神・身体の重患や重大な事故の場合が挙げられます。

この場合なら摂政をおくこができるため、ウの答えは「1」となります。

④エについて

憲法88条では皇室の財産は国に帰属し、皇室の費用は国会の議決を得なければないとします。

ここから「皇室は私有財産を保有していない」と思うかもしれませんが、皇室は相続税を払っており、財産を所有していることが分かります。

実際、現在でも皇室が株を所有し運用して資金を得ることは行われているようで、それには「経済顧問と呼ばれる皇室の私的なアドバイザー」が助言をしています。

昭和天皇が崩御した際に所有していた1500万円の財産が、バブル期で20億まで増えていたというのも有名な話のようです。

よって答えは「2」となります。

 

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