司法試験過去問解説平成29年憲法短答式試験第17問

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法過去問第17問を解説します。

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〔第17問〕(配点:2)
最高裁判所の規則制定権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№36])

ア.最高裁判所は,裁判所の内部規律に関する事項について規則を定める権限を有するが,憲法第76条第3項は,すべて裁判官は憲法及び法律にのみ拘束されると定めているから,裁判官を対象とする事項を規則で制定することはできない。

イ.最高裁判所の制定する規則は,その対象となる事項が規則を制定した機関の内部事項に限られないという点で,議院規則と異なる性質を有する。

ウ.「この法律に定めるもののほか,非訟事件の手続に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。」との非訟事件手続法第2条の規定は,憲法第77条第1項において規則の対象とされている「訴訟に関する手続」に非訟事件の手続が含まれないとの立場を前提としている。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

http://www.moj.go.jp/content/001224568.pdf問題

http://www.moj.go.jp/content/001225947.pdf解答

アについて

最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

日本国憲法第77条 - Wikipedia

77条では裁判所の内部規律を定める権限について保障されており、これは裁判官を対象とする規則を定められます。そうしないと、統一性がなくなってしまいますからね。

また、司法組織内部の命令等も受けないとされていますが、規則は適用されることになります。よってアは✖。

イについて

77条にあるように、内部の事項も定めることが可能ですが、訴訟や裁判に関する手続きのように、国会などに任せず司法府がみずからルールを定めることでその自主性を強化しています。

当然ながら裁判や訴訟は内部の事項だけに限らないので、内部の事項に限る議院規則とは性質が異なります。よって〇。

ウについて 

上記77条1項に「訴訟に関する手続き」がありますが、これには訴訟手続きではないような「非訟事件手続・調停手続」なども含まれると解されています。よって解答は✖となります。

以上、ア=ウ=×、イ=〇なので解答は6となります。

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