司法試験憲法短答試験過去問解説H29第13問 【選挙権及び選挙制度】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法過去問第13問を解説します。

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク

 

〔第13問〕(配点:3)
選挙権及び選挙制度に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№26]から[№28])

ア.憲法は,国民主権の原理に基づき,国民に対して,両議院の議員の選挙において投票をすることによって国の政治に参加することができる権利の保障は認めているが,投票をする機会の平等までは保障していない。[№26]

イ.選挙運動の一つの手段である政見放送において,政見放送の品位を損なう言動を禁止した公職選挙法第150条の2の規定に違反する言動がそのまま放送される利益は,法的に保護された利益とはいえず,したがって,上記言動がそのまま放送されなかったとしても,法的利益の侵害があったとはいえない。[№27]

ウ.憲法は,両議院の議員の選挙において投票をすることを,一定の年齢に達した国民の固有の権利として保障しており,自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選挙権について一定の制限をすることは別として,選挙権又はその行使を制限するためには,そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならない。[№28]

http://www.moj.go.jp/content/001224568.pdf問題

http://www.moj.go.jp/content/001224568.pdf解答

アについて

アは、選挙権の平等が認められていないのかが争点です。まず、選挙権の4つの原則を見ていきましょう。

4つの原則

  1. 普通選挙
  2. 秘密選挙
  3. 平等選挙
  4. 直接選挙

問題となっているのは、③の平等選挙です。これについて、在外邦人選挙権訴訟では、外国に居住する邦人に限って国政選挙の一部の選挙権を認めておらず、憲法は「国民に対して投票する機会を平等に保障している」と判決しています。

www.eityan-houritu.site

平等に選挙権を認めなければ、憲法44条の但し書き「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」にも違反することになりますから、平等に選挙権が認められるとした判決は正当でしょう。

よって、アの答えは「2」となります。

イについて

イは、政見放送削除事件についての問題になります。この判例では、政見放送の内容がNHKによって勝手に編集されて放送されたことについて、政見放送の編集が公職選挙法違反だとしてNHKを訴えた事件になります。

www.eityan-houritu.site


判決では、公職選挙法が品位を損なう発言を規定していることから、その規定に反する言動が法的に保護された利益とは言えず、その言動が放送されなくても法的利益の侵害はないとしました。

保護されていないから利益侵害はないということですね。よって、イの答えは「1」となります。

ウについて

在外邦人選挙権訴訟では、ウのように判決が述べられており、選挙権は国民の保障されている権利ですから、その権利を制限するときにはやむを得ない事由がなければならないとしています。

拘置者などについては、選挙権が認められておらず「自ら選挙の公正等を害する行為をした者」に当たるとされています。よって、答えは「1」となります。

今回の問題は選挙権についてでしたが、選挙権は国民の権利であるため平等に保障されており、その権利の制限はやむを得ない事由がなければ許されないことを覚えておきましょう。

www.eityan-houritu.site

 

スポンサードリンク