司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第20問
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験憲法第20問を解説します。
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問題
〔第20問〕(配点:2)
憲法改正に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№44])ア.国会法によれば,議員が憲法改正原案を発議するには,衆議院においては議員100人以上,参議院においては議員50人以上の賛成を要するが,その発議に当たっては,内容において関連する事項ごとに区分して行うものとされている。
イ.国会が発議した憲法改正に関する国民の承認は,衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙の際に行われる国民投票によることも可能であるが,これらの選挙の際に行われる場合は日本国憲法の改正手続に関する法律は適用されない。
ウ.日本国憲法の改正手続に関する法律では,憲法改正案に対する国民投票運動に関し,公職選挙法により規制される選挙運動と比較すると,戸別訪問の禁止がないなど規制が緩和されている。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解説
①アについて
国会法68条の2では、議員が憲法改正案の発議をする際は衆議院は100人以上・参議院は50人以上の賛成を必要とすると規定されます。
68条の3では、改正案の発議の際に内容において関連する事項ごとに区分して行うと定められます。
そのため、答えは「〇」となります。
②イについて
日本国憲法96条1項
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法改正には総選挙・通常選挙でも国民投票は可能としていますが、憲法96条1項には憲法改正手続きについて規定されていません。
そのため、日本国憲法の改正を実現するために「日本国憲法の改正手続きに関する法律」が作られており、これによらなければ具体的な憲法改正手続きが行われないことになります。
それでは憲法の「憲法改正」の要請に応えられないため、選挙の国民投票でも適用する必要があります。
よって、答えは「×」となります。
③ウについて
公職選挙法の2条では、衆議院・参議院・地方公共団体の議会・長の選挙に適用するとされており、憲法改正には公職選挙法の規定は及ばないと解されます。
そのため、選挙運動の戸別訪問などが緩和されていると言えるため、答えは「〇」となります。
よって、ア=ウ=〇でイ=×となるため、答えは「3」となります。
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