司法試験憲法短答試験H29第19問【財政に関する問題】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法過去問第19問を解説します。

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〔第19問〕(配点:3)
財政に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№38]から[№40])
ア.「租税を除く外,国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については,すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と規定する財政法第3条について,その根拠を憲法第83条の財政民主主義に求める見解に対しては,財政法第3条は,具体的な金額又は金額算定基準まで法律によって定めることまで要求していないのであるから,憲法第83条と矛盾することになるとの批判が妥当する。[№38]
イ.最高裁判所の判例によれば,個人への特別の給付に対する反対給付として当該個人に対して課する国民健康保険料のような金銭給付は憲法第84条の「租税」には当たらないと狭く解したとしても,「租税」以外の公課の賦課要件について定めた条例が憲法第84条の趣旨に反することはあり得る。[№39]
ウ.国費を支出するには国会の議決に基づくことを必要とするが,国費の支出に関する国会の議決は使途の確定した支出についてなされるべきものであるから,使途が未確定である予備費を設けることについては国会の議決を要しない。[№40]

http://www.moj.go.jp/content/001224568.pdf問題

http://www.moj.go.jp/content/001225947.pdf解答

アについて

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

日本国憲法第84条 - Wikipedia

憲法84条では上記のように規定されています。結論から先に述べてしまうと、財政法3条は憲法84条を根拠にしていると考えられています(いわゆる憲法84条説)。

その理由として租税とそれ以外の負担に差異はありますが、私たち国民からすれば租税以外の負担を憲法84条から除く理由はありません。

その上、それ以外の負担が国家の国権によって徴収されることを考えると、国会のコントール(法律によるもの)を厳密に及ぼすべきだと言えます。

よって、解答は2となります。

イについて

最高裁では、租税以外の公課であっても租税とその性質が共通する点や異なる点があり、また、賦課徴収の目的に応じて多種多様となります。

そのため「賦課要件が法律又は条例にどの程度明確に定められるべきかなどその規律の在り方については,当該公課の性質,賦課徴収の目的,その強制の度合い等を総合考慮して判断すべき」としました。

また、上記の問題にあるように租税以外の負担でも国家のコントロールが及ぶ必要があるため、租税以外の公課の賦課要件を定めた条例が憲法に違反する可能性があると言えます。

そのため、解答は1となります。

ウについて

 憲法87条では以下のように定めています。

予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

出典『日本国憲法第87条 - Wikipedia

ここで定められているように、予備費を設けるためには「国会の議決」が必要となります。

そのため、解答は2となります。

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