司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第10問

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法第10問を解説します。

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 問題

〔第10問〕(配点:2)
憲法第24条に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№22])

ア.憲法第24条第1項は,婚姻については当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるとの趣旨を明らかにしたものであるから,婚姻に関する法制度の内容が意に沿わないことを理由として婚姻しない者が生じるのであれば,その法制度を定めた法律は,憲法第24条第1項の趣旨に沿わない制約を課しているものとの評価を免れないことになる。

イ.憲法第24条第2項は,婚姻及び家族に関する事項について,具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに,その立法に当たっては,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請,指針を示すことによって,その裁量の限界を画したものである。

ウ.憲法第24条は,婚姻及び家族に関する立法において,憲法上の権利として保障される人格権を不当に侵害せず,かつ,両性の形式的な平等が保たれた内容の法律の制定を求めるにとどまらず,憲法上直接保障された権利とまではいえない人格的利益をも尊重すべきこと,両性の実質的な平等が保たれるように図ること等についても十分に配慮した法律の制定を求めるものである。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

http://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf

 解説

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①アについて

憲法24条1項

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

当事者間の合意で婚姻が成立するのであれば、法制度の意に沿わないことを理由として婚姻しない者がいるなら、それは当事者間で「婚姻しない」と合意したことと考えられます。

そのため、婚姻する者としない者が生じても、それは当事者間の合意故であり、それを定めた法律は憲法24条1項に違反することはありません。よって答えは「×」となります。

②イについて

婚姻及び家族に関する事項は、関連する法制度を待って具体的内容が定められ、その内容決定に当たっては、法制度の具体的設計が重要な意味を持ちます。

そのため、第一次的には国会が関わりますが、その内容決定には1項を前提としながら両性の本質的平等などに立脚すべきとする要請・指針を示して、裁量の限界を画したものと言えるとしています。

そのため、イの答えは「〇」となります。

③ウについて

24条の要請に応えて人格権を侵害せず、両性の本質的平等に即した法制度を作るだけでは足りず、憲法上保障されてはいない人格的利益を尊重すべきとしています。

また、婚姻をすることが事実上制限されないように図ることなどについても、十分に配慮した法律の制定を求めるものであると判示しています。

よって、ウの答えは「〇」となります。

以上より、ア=×、イ=ウ=〇で答えは「5」となります。昨年も出題されていたので、併せて確認しておきましょう。

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