司法試験過去問解説平成27年憲法短答式試験 第10問【国民の義務】

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第10問

〔第10問〕(配点:2)
国民の義務に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№20])
ア.憲法第26条第2項は保護する子女に普通教育を受けさせる国民の義務を定めているが,これは子どもが普通教育を受ける義務を負うことも意味するから,宗教上の信念に基づき授業内容の一部を受講しないと,子どもが同項違反の責任を問われる。
イ.憲法第27条第1項は国民の勤労義務を定めるが,これを道徳的な訓示規定と解すると,勤労の能力ある者がその機会があるのに勤労しない場合に生活保護を受給できないとする制度を設けることは,同項の訓示規定としての性格に反し憲法上許されないこととなる。
ウ.憲法第30条の定める国民の納税義務は憲法上の義務であるが,その義務は法律によって具体化されるので,国民が租税法規に従って税金を納付しない場合でも,法的には租税法規違反にとどまる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題の出典はこちらになります。

解答の出典はこちらになります。

アについて

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剣道実技拒否事件では、宗教上の信念に基づいて剣道実技の授業に出席しなかった生徒がいましたが、生徒が憲法26条違反かどうかは争点となっていません。

26条2項は「保護する子女に普通教育を受けさせる義務」であり、これが両親の義務であることは明らかですので、解答は✖となります。

イについて

訓示規定というのは「指示としての性格を持つもの」で、それに違反したとしても行為の効力に影響がないものを言います。

ウについて

税金の徴収・賦課については租税法律主義の考え方に基づいています。

何人(なんびと)も法律の根拠がなければ、租税を賦課されたり、徴収されたりすることがないとする考え方

出典『租税法律主義 - Wikipedia

法律が定められてないということは義務が具体化されていないということですので、法規、つまり規範に違反するにとどまることは明らかです。

よって解答は〇となります。

 

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