司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第8問

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法第8問を解説します。

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 問題

〔第8問〕(配点:2)
居住・移転の自由に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№17])

ア.自衛官につき,防衛大臣が指定する場所に居住しなければならないとする法律の規定は,当該国民が自ら自衛官に志願した結果として課される制約であるところ,我が国の防衛のためいつでも職務に従事できる態勢にあることが求められるという自衛官の職務の性質に照らし,このような居住地の制限は合理的な制限であって合憲と解される。

イ.外務大臣において,著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者につき一般旅券を発給しないことができるとする法律の規定は,単に旅券の発給を制限するに過ぎず,海外渡航の自由を制約するものではないため合憲と解される。

ウ.住民が住所を変更したときには市町村長に届け出なければならない旨を義務付ける法律の規定は,住所・居所の決定や移転それ自体を制限するものではなく,規制態様が軽微である反面,住民票の整備により得られる公益が大きいことから合憲と解される。

エ.破産手続中の破産者につき,裁判所の許可なく居住地を離れることを禁止する法律の規定は,破産手続という限られた期間内にのみ適用されるものに過ぎず,仮に裁判所の許可が得られなくても破産手続が終結すれば自由に居住地を離れることができるため,居住・移転の自由に対する制約が認められず合憲と解される。

1.ア イ 2.ア ウ 3.ア エ

4.イ ウ 5.イ エ 6.ウ エ

http://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf 』

 解説

①アについて

自衛官は国の防衛のために、何かが発生すれば早急に動くことが求められる。それは、国を守るという国人利益に資するものです。

そのため、自衛官の居住・移転の自由と国民に利益を比較衡量した際に、優先されるべきは後者であり、前者の制約は受忍すべきものである。よって合憲という解釈が可能なので、アは正しい。

 

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②イについて

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例えば、私たちがで述べられるような「日本国の利益又は公安を害する」立場の人間であったとしましょう。

その場合において、旅券の発行を制限された際に、キャリーバッグ・お金その他、海外渡航に必要な準備をしていたとしましょう。

海外渡航に行く準備はできたのに、旅券が無くては海外には当然いけません。つまり、旅券こそが海外渡航の自由に必要で、旅券の発行を制限することは直接海外渡航の自由を制限することになります。

そのため、合憲であるという解釈はできないため、イの答えは誤りとなります。

③ウについて

選挙というのは、選挙の態様に問わずその先のことを決める重要なものです。そのため、住民票を整理しておくことは円滑な選挙の実施に資することになります。

仮に、Aさんが村から出ていき隣のB村へ移動するときに住所の変更等を行いませんでした。数日後、AさんがB村で選挙しようとしましたが、選挙権がないと言われ確認などを求めるとこの場合に円滑に選挙を実現できない恐れがあります。

また、届け出をすること自体は軽微なものであり、住民票を整理する利益の方が大きいと言えるため、答えは正しいことになります。

④エについて

 

答えは「5」

 

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