司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第14問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験憲法H28の第14問を解説していきます。

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〔第14問〕(配点:3)
いわゆる在外邦人選挙権制限違憲訴訟上告審判決(最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決,民集59巻7号2087頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№26]から[№28])
ア.前記判決は,国政選挙の選挙権について,「国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利として議会制民主主義の根幹を成すものであり,民主国家においては,一定の年齢に達した国民の全てに平等に与えられるべきものである」と指摘しているが,同判決の考え方に従ったとしても,自ら選挙の公正を害する行為をした者の選挙権について一定の制限をすることまで違憲となるわけではない。[№26]
イ.比例代表選出議員の選挙と異なり,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙については,選挙権を行使する者が日本国内の特定地域に現に居住していることを前提としているから,上記判決の考え方に従ったとしても,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における在外日本国民の選挙権の行使を制限することまで違憲となるわけではない。[№27]
ウ.前記判決は,在外日本国民の選挙権行使を制限する公職選挙法の規定について違憲と判断したものであるが,「仮に当該立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても,それゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない」として,立法不作為を理由とする国家賠償請求は認めなかった。[№28]

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

本件の判例は以下になります。

www.eityan-houritu.site

アについて

問題文・判決にもあるように、「自ら選挙の公正を害する行為をした者に対して選挙権の制限をすることは違憲とならない」とされています。

これは拘禁される者に選挙権が認められていないことから明らかです。

よって、解答は1となります。

イについて

選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められない事由でない限り、上記やむをえないと認められる事由であるとはいえ」ないとしています。

制限するときにはそれをしない場合に、選挙を適正に運営することが難しいなどの理由がない限り選挙権の制限は許されないということです。

よって、理由もなく在外邦人の選挙権を制限することは許されませんので、解答は2となります。

ウについて

本件は例外的に立法不作為が違法の評価を受けて、損害賠償の対象となるとされた珍しい判例となります。

よって、解答は2となります。

 

www.eityan-houritu.site

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