司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第七問【学問の自由】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験憲法第7問を解説します。
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問題
〔第7問〕(配点:2)
学問の自由及び教育の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№16])ア.大学における学生の集会が,大学の公認した団体が大学の許可を得て開催したものであれば,真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものでなく,実社会の政治的社会的活動に当たる場合であっても,同集会への警察官の立入りは,大学の有する学問の自由と自治を侵害することとなる。
イ.学問の自由は,学問研究の自由とその研究結果の発表の自由だけでなく,その研究結果を教授する自由をも含むところ,教育の本質上,教師は,高等学校以下の普通教育においても,教授の自由を有し,自らの判断で教育内容を決定することができるのであって,国が教育内容の決定に介入することは許されない。
ウ.親は,子の将来に関して最も深い関心を持ち,かつ,配慮をすべき立場にある者として,子に対する教育の自由を有しており,このような親の教育の自由は,主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるところ,親の学校選択の自由は,特定の学校の選択を強要又は妨害された場合,その侵害が問題となり得る。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解説
東大ポポロ事件
東大ポポロ事件では、学生団体が政治的活動を行っていることを理由に、私服警察官が構内に立ち入っており、大学の自治が侵害されていないかが争点でした。
ただ、学問の自由は学生の政治的活動の自由を保障しておらず、そのため当該学生団体は大学の自治による保護を受けないとし、私服警察官の立ち入りは違法なものではないとしました。
旭川学テ事件
旭川学テ事件では、教育の自由が教師と国家のどちらにあるかが争点でした。
最高裁は、どちらにあるか判断するのは難しいが、大まかなことを決定するのが国であるため、国に教育権の帰属が認められるとしています。
また、親の教育権については、学校外の家庭教育や学校選択の自由に現れるともしています。
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①アについて
アは、東大ポポロ事件のことで、政治的活動を行っている場合は大学の自治による保障を受けておらず、私服警察官の立ち入りも違法ではないため、答えは「×」となります。
②イについて
イは、旭川学テ事件のことで、教育権の帰属が国家にあることから答えは「×」となります。
ただ、国家に帰属権が認められるものの、政策決定の中で特定の思想に偏るようなことがあっては、戦前の国家体制に戻ってしまうため注意が必要としています。
③ウについて
ウは、旭川学テ事件と平成21年12月10日判決を参考にしています。
旭川学テ事件では親には学校外での教育権が認められるとされ、平成21年12月10日判決では、特定の学校への進学などが強要された場合には、親の教育選択の自由を侵害するものとして問題になるとされます。
よって、答えは「〇」となります。
××〇ということで、答えは「7」となります。
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