司法試験過去問解説平成28年憲法短答式試験第7問

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験H28 憲法第7問を解説していきます。

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〔第7問〕(配点:2)
学問の自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○を,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№13])
ア.学問の自由は,学問的研究の自由とその研究成果の発表の自由を指しており,憲法第23条は大学が学術の中心として深く真理を探究することを本質とすることに鑑みて規定されたものであるから,同条の保障は大学の教授や研究者を対象とするものであり,国民一般はその保障の対象ではない。
イ.大学における学問の自由を保障するために伝統的に大学の自治が認められているところ,学内集会について大学の自治の保障が及ぶか否かの判断に当たって,その集会の目的や性格を考慮することは,学内で行われる活動をその思想内容に着目して規制することになり,大学の自治を認めた趣旨に抵触するから,許されない。
ウ.普通教育の場において使用される教科書は学術研究の結果の発表を目的とするものではなく,教科書検定は,記載内容がいまだ学界において支持を得ていないとき,あるいは当該教科課程で取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど一定の検定基準に違反する場合に,教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎないから,憲法第23条に反しない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

問題『法務省:平成28年司法試験の実施について

解答『法務省:平成28年司法試験短答式試験結果

アについて

判例は東大ポポロ事件になります。

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裁判の要旨にもあるように、学問の自由は「広くすべての国民に対してそれらの自由を保障する」とされています。

その中でも「特に、大学におけるそれらの自由および大学における教授の自由を保障することを趣旨としたもの」としているだけであり、国民も保障の対象となります。

よって解答は✖となります。

イについて

こちらの判例も東大ポポロ事件となります。

本件の集会は「真に学問的な研究と発表のためのものではなく、実社会の政治的社会活動であり、かつ公聞の集会またはこれに準じるものであって、大学の学問の自由と自治はこれを享有しないといわなければならない」とされました。

学問であれば大学の自治を受けるのであり、それ以外の政治活動などについては大学の自治を受けず、それを規制したとしても活動の内容に着目していないことは明らかです。

「大学の自治を受けない行為を制限」しているだけですからね。よって、解答は✖となります。

 

ウについて

判例は家永教科書裁判になります。

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教科書検定の合否は文部大臣が決めるのであり、看過しがたい錯誤があり、大臣の判断がこれに依拠してされた場合には、裁量権の範囲を逸脱したものと認められます。→今回は国家賠償は認められませんでした。

まあ、教科書検定に合格できず教科用図書として販売できなくて、研究の発表が制限されたとしても、「一般の指導書」という形で販売することができます。こうしたことを踏まえて、教科書検定は憲法23条に違反しないとされました。

よって、解答は〇となります。

以上、ア=イ=×・ウ=〇となるので、解答は7となります。

 

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