司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第三問【思想良心の自由】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法第三問を解説します。

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問題

〔第3問〕(配点:2)
思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№5])

ア.良心の自由とは是非弁別の判断に関する事項を外部に表現する自由及び表現しない自由をも広く含むと解されるが,裁判所が謝罪広告を強制したとしても,単に事態の真相を告白し,陳謝の意を表明するにとどまる限りは,良心の自由を不当に制限するものではない。

イ.司法書士会が大震災で被災した他県の司法書士会に復興支援拠出金を寄付することは,司法書士会の目的の範囲を逸脱せず,また,司法書士会がその寄付のために会員から負担金を徴収することは,強制加入団体であることを考慮しても,会員の政治的又は宗教的立場や思想,信条の自由を害するものではない。

ウ.破壊活動防止法第39条及び第40条のせん動罪は,政治目的をもって,所定の犯罪のせん動をすることを処罰するものであるが,せん動として外形に現れた客観的な行為を処罰の対象とするもので,行為の基礎となった思想,信条を処罰するものではないから,せん動罪が政治思想を処罰するもので憲法第19条に違反するとの主張は前提を欠く。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

http://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf

 解説

 謝罪広告事件

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謝罪広告事件では、謝罪広告の強制が良心の自由を侵害するかが争点となりました。

判決では、強制になる場合もあるが、事実の虚偽を報告してそのことを陳謝するだけでは、上告人に屈辱を与えるものではないため、良心の自由を不当に侵害するものではないとしました。

 

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群馬県司法書士会事件

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群馬県司法書士会事件では、司法書士会が拠出金を寄付したことが権利能力を逸脱するものではなく、会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害さないとしました。

破壊活動防止法事件

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破壊活動防止法事件では、せん動罪は「せん動として外形に現れた行為」を処罰するものであり、基礎にある政治思想を処罰する意味ではないため、憲法19条に違反しないとしました。

 

①アについて  

単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる場合は思想の表明にはなりません。

しかし、その強制執行はその者の意思決定を侵害するものであるため、裁判所が強制することは許されません。よって、答えは「×」となります。

②イについて

イは、群馬県司法書士会事件のことで、寄付金は司法書士会の目的から逸脱するものではなく、強制加入団体ということを考慮しても、会員の持つ自由を侵害していません。

よって、答えは「〇」となります。

③ウについて

ウは、破壊活動防止法事件のことで、上記の通り政治活動という基礎にあるものを処罰していないため、憲法19条には違反していません。よって、答えは「〇」となります。 

答えはア=×、イ=ウ=〇となるので「5」となります。

 

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