司法試験H20公法系科目第4問【団体の自律性と構成員の思想の自由】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H20公法系科目第4問を解説していきます。
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〔第4問〕(配点:2) 次のアからウまでの各記述について,団体の自律性と構成員の思想の自由に関する最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい 。(解答欄は,[№8])
ア. どの政党又は候補者を支持するかは投票の自由と表裏をなすべきものであり,組合員各自が自主的に決定すべき事柄である。しかし,労働組合には脱退の自由があるので,労働組合が総選挙に際し特定の政党の立候補者を支援する資金のための臨時組合費の負担を組合員に強制することは,許される。
イ. 政治資金規正法上の政治団体に寄附するか否かは選挙における投票の自由と表裏をなし,会員各人が個人的な政治思想等に基づいて自主的に決定すべき事柄である。会員に脱退の自由のない強制加入団体である税理士会が,上記の寄附のために特別会費の納入を会員に強制することは,許されない。
ウ. 大震災で被災した他県の司法書士会へ復興支援拠出金寄附のための負担金の徴収は,司法書士会の目的の範囲を逸脱するものではない。司法書士会が強制加入団体であることを考慮しても,本件会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害するものではなく,会員の協力義務を否定すべき特段の事情があるとは認められない。
1. ア○ イ○ ウ○ 2. ア○ イ○ ウ×
3. ア○ イ× ウ○ 4. ア○ イ× ウ×
5. ア× イ○ ウ○ 6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○ 8. ア× イ× ウ×
出典
問題『司法試験H20公法系科目問題』
解答『司法試験H20公法系科目解答』
アについて
判例によれば候補者の支援などに関しては個人的な判断に基づくべきであるとして、資金負担の強制は許されないとしています。 そのため、解答は✖となります。
イについて
「公的な性格を有する税理士会が、このような事柄を多数決原理によって団体の意思として決定し、構成員にその協力を義務付けることはできないというべき」とされています。
税理士会事件でも特定の政党に金員を寄付することが、どの候補者を支持するかに密接に関係する問題であるとして、強制することは許されていません。
そのため、解答は◯となります。
ウについて
司法書士会が強制加入団体であることを考慮しても、負担金を徴収することは、「会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害」さないとされています。
司法書士会が寄付金を徴収するのは権利能力の範囲内とされたため、解答は◯となります。 以上、ア=✖・イ=ウ=◯なので解答は5となります。
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