司法試験憲法短答式試験過去問解説H30第二問【法の下の平等】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験憲法第二問を解説します。

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問題

 〔第2問〕(配点:2)
法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№4])

ア.子にとって自ら選択できないような事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきたという事情は,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠が失われたと判断すべき根拠となる。

イ.憲法第14条第1項は国民に対し法の下の平等を保障した規定であり,平等の要請は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨と解され,特に同項後段の事項は,合憲性の推定が排除される事項を限定列挙したものである。

ウ.地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定することができるとしている条例制定権の規定(憲法第94条)に照らすと,地方公共団体が売春の取締りについて各別に条例を制定する結果,その取扱いに差別を生ずることがあっても,地域差の故をもって憲法第14条第1項に反するとはいえない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

http://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf

 解説

法の下の平等に関する問題で、判例も見たことがあるものが多かったのではないかと思います。

非嫡出子相続分違憲訴訟

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この訴訟当時、外国でも非嫡出子が嫡出子と同様の扱いを受けるようになっており、法律制定時と比べて周りの環境が変わっていました。

そうした動きを受けて、この訴訟で日本でも嫡出子と非嫡出子の相続分が違うのは法の下の平等に反し違憲だと判断がされました。

立山町高齢職員処分事件

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立山町高齢職員処分事件では、高齢者という理由で処罰したのには合理的な理由があるため、法の下の平等に反しないとされました。つまり、合理的な差別なら許されるということです。

ただ、判決でも示しているように、14条後段は合憲性の推定が排除されることを限定列挙したものではなく、それは例示したにすぎず他の理由も含まれるとしました。

 

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売春等取締条例事件

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憲法は条例制定権を認めていますので、地域ごとに条例の罰則規定にある程度の差異が出ることは予想されます。そのため、扱いに差別が生じたとしても、必ずしも14条1項に違反するとは言えません。 

①アについて

 アは、非嫡出子相続分違憲判決に照らして明らかであり、制定時と状況が全く異なり非嫡出子を嫡出子と同様に扱う動きがあり、その考えが確立されてきていました。

そして、これは非嫡出子と嫡出子の間に差別を設けるための合理的な判断が失われたと判断すべき根拠にして、違憲判決が下されました。よって、答えは「〇」となります。

②イについて

イの後半部分は、立山町高齢職員処分事件に照らすと明らかなように、14条1項後段はあくまで例を示しただけで、限定的に列挙したものではありません。

そのため、上記の判決であれば、「高齢」という理由も当然に14条1項後段に含まれるということです。よって、答えは「×」となります。

③ウについて

ウは、売春等取締条例事件に照らしても明らかなように、憲法が条例制定権を認めているのに、地域ごとの差異を認めていないのでは全くおかしな状況になってしまいます。

そのため、地域ごとに罰則の差異があるのは憲法自らが容認していることであるため、ウの答えは「〇」となります。

ア=ウ=〇・イ=×となるため、答えは「3」となります。

 

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