司法試験過去問解説H29~第14問【政党】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験のH29年政党に関する問題を解説していきます。

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〔第14問〕(配点:3)
政党に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№29]から[№31])
ア.憲法には政党について直接規定されていないが,政党は,憲法の定める議会制民主主義を支える上で極めて重要な存在であることから,憲法は,政党の存在を当然に予定しているとするのが判例の立場である。[№29]

イ.憲法第51条は,「両議院の議員は,議院で行つた演説,討論又は表決について,院外で責任を問はれない。」と定め,国民の代表たる国会議員の職務執行の自由を保障しているから,議院内での国会議員による発言や表決を理由にその所属政党が除名処分をすることはできない。[№30]

ウ.政党がその所属党員に対してした除名その他の処分の当否について,裁判所は,原則として適正な手続にのっとってされたか否かを審査して判断すべきであり,一般市民としての権利利益を侵害する場合に限り処分内容の当否を審査できるとするのが判例の立場である。[№31]

司法試験 H29 【第14問】』 解答  1、2、2 『司法試験 解答

アについて

政党というのは意外にも、憲法上ではその存在が規定されているわけではなく、参議院・衆議院や議院内閣制を規定しているのみにとどまります。

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しかし、共産党袴田事件においては「議会制民主主義を支える上において極めて重要な存在」とされました。

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八幡製鉄所政治献金事件では「憲法は、政党の存在を当然に予定している」という判決が出されており、憲法で明示されてはいませんが、政党の存在は当然に肯定されています。

よって解答1となります。

 

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イについて

日本国憲法51条では「両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」と規定されていて、これはイの問題に合致するものです。

これが具体的に何を規定しているかというと、議員の免責特権と言われている議員の権利を保障しています。

免責特権

どうしてこのような免責という権利が認められているのかというと、毎回毎回、議員の不適切な発言を処罰していては議員が自由に発言できなくなってしまいます。そうすると、国民の選挙で選ばれたのに期待に応えることなく活動できなくなる可能性があります。

そこで、憲法51条によって議員の自由な発言などを保障しており、それは「議院で行つた」ということから議院の職務で行った行為に限られています。要は、国会内だけではないということですね。

議員は処罰できない?

では、免責特権があるから処罰できないのかというと、まったくそんなことはありません。

憲法の文言のように「院外で責任を問はれない」としているように、院外ではなく院内での責任は問われるとしています。院内の責任というのは除名処分や登院停止処分などですね。

このように、議員は職務の執行の自由が保障されていますが、院内での責任は問われうるため「イ」の解答は2となります。

ウについて

これは共産党袴田事件 から明らかになりますが、所属議員に対して行った除名処分への裁判所の判断は、基本的には司法審査の対象とならないが、一般市民法秩序に関係するところがあれば審査対象になり得るとしていました。

そのため、「ウ」の解答は後半部分があっていて、前半部分は間違っているということになります。

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