司法試験H23公法系科目第14問【主権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H23第14問を解説していきます。

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〔第14問〕(配点:3) 主権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№26]から[№28])

ア.憲法の国民主権の原理における国民とは,最高裁判所の判例が示すところによれば,主権が日本国民に存するとする憲法前文及び第1条の規定に照らして,日本国の国籍を有する者を意味するものとされる。[№26]

イ.主権という言葉は多義的であり,国民主権,国家主権のほかに,国家権力(統治権)そのものを意味する場合もあって,憲法第9条第1項及び第41条で使われている「国権」とは,この国家権力そのものを表すものとして使われている。[№27]

ウ.国民主権原理を宣明する憲法では,国民の代表者を選定する選挙制度は民主主義の根幹を成すものである。憲法改正における国民投票は国民主権の具体化といえるものであるから,その投票権者の要件を公職選挙法が定める選挙権者の要件と異なって定める法律は,違憲である。 [№28]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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上記判例では、「憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らか」とされています。

ここで述べられるように、「国民」とは「日本国籍を有する者」であるため、解答は1となります。

イについて

主権と言うのは、国家の独立を保つため(国家主権)・国民が決定する権利(国民主権)・国が統制する権利(統治権)など、その意味は広くなります。 一方、国権とは「力」のみととられるのが適切ですので、解答は1となります。

ウについて

国民投票と選挙投票はその目的や内容が違うものであり、それに応じて投票権者の要件を変えることは合理的だと思われます。 そのため、解答は2となります。

 

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司法試験H23公法系科目第13問【憲法の概念】

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今日は、司法試験公法系科目H23第13問を解説していきます。

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〔第13問〕(配点:2) 憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№25])

ア.国家統治の基本を定めた法としての憲法を「固有の意味の憲法」と呼び,そのうち国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づくものを特に「立憲的意味の憲法」と呼んで,その余の「固有の意味の憲法」と区別することがある。この区別は,憲法の内容に着目した区別であり,憲法の存在形式とは無関係である。

イ.憲法という名前で呼ばれる成文の法典(憲法典)を「形式的意味の憲法」と呼び,「実質的意味の憲法」と区別することがある。この区別の意義は,本来憲法典に書かれるべきことが書かれないことがあり,逆に,本来憲法の内容となるべきでないものが憲法典の中に書かれることがあるという点に注意を促すことにあるといえる。

ウ.憲法改正に法律の改正より困難な手続が要求される憲法を「硬性憲法」,法律の改正と同じ手続でよいものを「軟性憲法」として区別することがある。憲法の最高法規性は,憲法が「硬性憲法」として,国法秩序において最も強い形式的効力を持つ点に求められるのであって,憲法がいかなる基本価値を体現しているかということとは関係がない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

「固有の意味の憲法」とは国家統治をする基本となる法という意味で、「立憲的意味の憲法」とは国家権力を制限することで国民の自由を保障するという立憲主義に基づく憲法のことを言います。

ここで述べられるように、上記2つは憲法が「どんな内容なのか」に着目しており、その存在形式については注目していません。 そのため、解答は◯となります。

イについて

「形式的意味の憲法」とは憲法として存在していればよく中身は問わないのに対して、「実質的意味の憲法」は特定の内容を持つ中身重視の憲法のことを言います。

このように、両者は対照的で、形式的な場合には重要なことが定められず、また、実質的な場合には必要でないことが定められる可能性があります(中身がないといけないため)。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

憲法97条

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
憲法というのは基本的人権という「個人の尊厳・尊重」ということを実現するための規範であり、それゆえに憲法に最高法規性があると言うことができます。
つまり、憲法の最高法規性は憲法がどれほどの価値があるものかと強く関係していると考えられるので、解答は✖となります。
以上、ア=イ=◯・ウ=✖なので解答は2となります。
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司法試験H23公法系科目第12問【憲法31条】

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今日は、司法試験公法系科目H23第12問を解説していきます。  

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〔第12問〕(配点:3) 憲法第31条に関する次のアからウまでの各記述について,aの見解からbの見解が導き出せる場合には1を,導き出せない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№22]から[№24])

ア.

a.憲法第31条は,文字どおり,刑罰を科する場合には,法律で定める手続によらなければならないという要求のみを規定したものである。

b.条例は地方公共団体が制定する自主立法であるから,刑罰を科する場合の手続を条例で定めることも許される。[№22]

イ.

a.憲法第31条は,刑罰を科する場合の手続が法律で定められなければならないということと,手続が適正なものでなければならないということを規定したものである。

b.憲法第31条は,罪刑法定主義を定めた規定ではなく,その根拠は憲法の別の条文に求めなければならない。[№23]

ウ.

a.憲法第31条は,刑罰を科する場合の手続の法定とその適正のみならず,実体の法定とその適正をも要求する規定である。

b.処罰の必要性及び合理性,罪刑の均衡を要求する根拠は,憲法第31条に求められる。[№24]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

「刑罰は法律で定める手続きによる」の部分と「刑罰を科する場合の手続きを条例で定めることができる」の部分が誤っている。 そのため、解答は2となります。

イについて

憲法31条が刑罰を科す際の「手続き」とその「手続き」が適正である必要性を定めているとする見解に立つとします。

そうすると、「手続き」に関することしか述べられていないので、「罪刑法定」主義は別の条文に根拠を置く必要があります。 そのため、解答は1となります。

ウについて

実体法(実態の法定)によることである犯罪の刑罰を定めることができますから、罪刑の均衡につながります。

また、刑罰を科す際の手続きを法で定めてそれを適正にすることは、その処罰を具体化して必要性を見出すことになり、適正にすることで合理性も見出すことができるでしょう。

以上より、a と b の見解はなんら相違することがなく、b は a の見解を簡単に表したものだと言えるので解答は1となります。

 

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司法試験H23公法系科目第11問【国家賠償請求権】

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〔第11問〕(配点:3) 国家賠償請求権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№19]から[№21])

ア.国又は公共団体の行為が,いわゆる非権力的な管理作用に属する場合は,大日本帝国憲法下でも判例上民法第709条以下の規定による不法行為責任がある程度まで認められていた。それゆえ,日本国憲法第17条の意義は,権力作用に属する不法行為との関係で国家無答責の原則を否定し,国家の賠償責任を明記した点にあるということができる。[№19]

イ.日本国憲法第17条は,国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利について,「法律の定めるところにより」として,その法律による具体化を予定している。これは公務員のどのような行為によりいかなる要件で賠償責任を負うかを全面的に立法府の裁量判断に委ねる趣旨であるから,このような法律の定めが同条に反することはないと解される。[№20]

ウ.最高裁判所は,かつて,例え立法の内容が憲法に違反するものであっても国会議員の立法行為は国家賠償法第1条第1項の適用上当然に違法の評価を受けるものではないとしていた。しかし,最高裁判所は,その後判例を変更し,国会で議決された法律が違憲であれば国家賠償法上も違法の評価を受けることになるという立場を採るに至った。[№21]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

憲法17条

何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

17条で定められるように、公務員の不法行為で損害を受けたとき(権利侵害など)には、国または地方公共団体に賠償を求めることができます。

アについて

日本国憲法以前では国の行為で損害が加えられても、国はそれを賠償する責任を負いませんでした。

しかし、日本国憲法では国の責任を17条で明記し、国や地方公共団体に賠償を求めることができるとした点で意義があると認められます。 そのため、解答は1となります。

イについて

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憲法17条は公務員のどんな行為のどんな要件で損害賠償責任を負うかを立法府の裁量にゆだねたもので、「立法府に無制限の裁量権を付与するといった法律に対する白紙委任を認めているものではない」としています。 そのため、解答は2となります。

ウについて

判例では、法律自体が憲法に違反するしている場合に、必ず国家賠償法に基づく損害賠償を請求できるとはしていません(上記参照)。 そのため、解答は2となります。

 

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司法試験H23公法系科目第10問【労働基本権】

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〔第10問〕(配点:2) 労働基本権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№18])

ア.最高裁判所の判例の趣旨によれば,公務員の労働基本権の制限については,制度上整備された代償措置が講じられていることがその合憲性の根拠とされているから,人事院勧告実施の凍結に抗議して行われた争議行為は適法である。

イ.外国人の享有する人権の範囲について,その人権の性質に応じて個別的に判断されるとする考えによれば,参政権や社会権などはその範囲外であり,したがって,外国人には労働基本権の適用がない。

ウ.最高裁判所の判例の趣旨によれば,労働組合には組合員に対する統制権が認められるが,公職選挙において,組合がその統一候補以外の組合員の立候補に対し,統制違反を理由に組合員としての権利を停止する処分をすることは許されない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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上記判例では、公務員の争議行為は認められておらず、したがって人事院勧告の凍結に対するストライキも適法とはなりません。 そのため、解答は✖となります。

イについて

社会権のうち、参政権や生存権は判例で外国人に認められていませんが、労働基本権を日本人だけに認める財政的事情などは特別な事情は考えられないでしょう。 そのため、解答は✖となります。

ウについて

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この判例では、組合に統制権があることは明らかだが、その範囲を超えて選挙権などを制限することは許されないとしています。 そのため、解答は◯となります。 以上、ア=イ=✖・ウ=◯なので解答は7となります。

 

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司法試験H23公法系科目第9問【旭川学力テスト事件判決】

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〔第9問〕(配点:2) 旭川学力テスト事件判決(最高裁判所昭和51年5月21日大法廷判決,刑集30巻5号615頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№17])

ア.国民各自は,一個の人間として,また一市民として,成長,発達し,自己の人格を完成,実現するために必要な学習する固有の権利を有し,特に,子どもは,そのための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有する。

イ.個人の基本的自由を認め,その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては,子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入は,許されない。

ウ.子どもの教育は,専ら子どもの利益のために,教育を与える者の責務として行われるべきものであるから,教育の内容及び方法については,その実施に当たる教師が,教育専門家としての立場から,決定し遂行すべきものである。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

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アについて

判決では、特に、自ら学習することができない子供は、学習要求を充足させるために教育を自己に施すことを要求する権利を有するとされています。 そのため、解答は◯となります。

イについて

戦前の様に、国家が介入して教育において思想等を強制することは許されません。そのため、解答は◯となります。

ウについて

最高裁では、教育権の帰属が教師か国家は決定することができないとしていますが、どちらかといえあば教育権は国家にあるとされています。 そのため、解答は✖となります。

以上、ア=イ=◯・ウ=✖なので解答は2となります。

 

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司法試験H23公法系科目第8問【財産権】

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〔第8問〕(配点:3) 財産権の制限と補償の要否に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№14]から[№16])

ア.憲法第29条第3項にいう「公共のために用ひる」とは,公共の福祉のための必要に基づいて公共施設のための用地買収など公共事業を目的として行う場合に限られないが,特定の個人が受益者となる場合は,これに当たらない。[№14]

イ.憲法第29条第3項にいう「正当な補償」とは,その当時の経済状態において成立すると考えられる取引価格に基づき,合理的に算出された相当な額をいうが,かかる補償は,対象となる私有財産の収用ないし供与と同時に履行されなければならない。[№15]

ウ.憲法第29条の規定に照らせば,法律で一旦定められた財産権の内容を事後の法律で変更し,特段の補償を行わないものとしても,それが公共の福祉に適合するようにされたものである限り,これをもって違憲ということはできない。[№16]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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公共のために用いるの意味は、公共事業のみならず特定の個人が受益者になるような場合であっても、それが公共の利益のためであれば個人の財産でも用いることができます。

そのため、解答は2となります。   特定の個人が受益者となるような場合には、農地買収などが例として挙げられます。

イについて

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上記の行政判例では、憲法29条は正当な補償をすることにういて規定していますが、それは同時履行まで保障するものではないとしています。 そのため、解答は2となります。

ウについて

財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律で定められる(憲法29条2項)とされていることから、それに関して補償規定がなくてもそれが適合していれば、それが違憲となることは明らかです。

そのため、解答は1となりますが、私有財産を用いる場合には正当な補償があることに注意したいです。

ただ、これは条例の判例になりますが、正当な補償に関する規定がなくても29条3項を根拠にして請求することができるとしています。

 

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司法試験H23公法系科目第7問【表現の自由】

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〔第7問〕(配点:3) 表現の自由の制約の合憲性をめぐる判断枠組みに関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№11]から[№13])

ア.広告物が貼付されている場所の性質,周囲の状況,広告物の数量や形状,貼付の仕方等を総合的に考慮し,地域の美観風致の侵害の程度と当該広告物に表れた表現の持つ価値とを比較衡量してその規制の合憲性を判断すべきである。[№11]

イ.裁判官による積極的な政治運動の禁止の目的は,裁判官の独立及び中立・公正の確保に対する国民の信頼の維持,そして司法と立法・行政とのあるべき関係を規律することであるので,その要請は,一般職の国家公務員に対する政治的行為の禁止の要請よりも強いものというべきである。[№12]

ウ.問題となっている写真集のわいせつ性については,芸術など性的刺激を緩和させる要素の存在,問題となっている各写真の写真集に占める比重,作者に対する当該分野の評論家からの評価,その表現手法等の観点から,写真集を全体としてみて判断すべきである。[№13]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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比較衡量するのではなく、それが公共の福祉による表現の自由に対する規制という観点から考えられています。 そのため、解答は2となります。

イについて

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最高裁では「三権分立を保つ」という視点からも判決が述べられており、それは公務員よりも求められるものが大きいということができるでしょう。 そのため、解答は1となります。

ウについて

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最高裁では、わいせつ性があるからと言ってすぐに判断するのではなく、その表現物の内容などを総合的に考慮すべきとしています。 そのため、解答は1となります。

 

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司法試験H23公法系科目第6問【政教分離】

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〔第6問〕(配点:3) 政教分離に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№8]から[№10])

ア.県知事の大嘗祭への参列は,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇に対する社会的儀礼を尽くすことを目的とするものであり,その効果も,特定の宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等にはならず,政教分離規定に反しない。[№8]

イ.靖国神社及び護国神社は,憲法第89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」に該当することは明らかであり,国又は機関が靖国神社や護国神社に玉串料等として公金を支出すれば,直ちに違憲となる。[№9]

ウ.町会は,地域住民によって構成される町内会組織であって,宗教的活動を目的とする団体ではなく,町会が地蔵像の維持管理を行う行為も宗教的色彩の希薄な伝統的習俗行事にとどまるから,市が地蔵像建立のために市有地を町会に無償提供した行為は,政教分離規定に反しない。[№10]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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この判例では、県知事の大嘗祭への参加が目的効果基準に違反するものではなく、その関わりの程度も相当とされる限度を超えていないとされました。 そのため、解答は1となります。

イについて

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国家と宗教が一切関わりを持たないことは不可能に近く、そのため、公金支出における関わり合いが相当とされる限度を超える場合に判断されるべきとしています。 以上より、解答は2となります。

ウについて

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大阪地蔵像訴訟では、事業の円滑な進行を目的とした地蔵像の建立のために市有地を提供した行為が政教分離原則に違反するかが争われました。

この点、最高裁は津地鎮祭訴訟で用いられた目的効果基準に違反せず、関わり合いが相当とされる限度を超えるものではなかったとしています。 そのため、解答は1となります。

 

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司法試験H23公法系科目第5問【思想良心の自由】

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〔第5問〕(配点:3) 憲法第19条に関する次のアからウまでの各記述のうち,aは最高裁判所の判例を要約したものであり,bはその批判として書かれたものである。bがaの批判となっている場合には1を,bがaの批判となっていない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№5]から[№7])

ア.

a.謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずることは,憲法第19条が保障する良心の自由を侵害するものではない。

b.憲法第19条の「良心」には道徳的反省や誠実さは含まれないので,単に事態の真相を告白し,陳謝の意を表明する程度の強制は認められる。[№5]

イ.

a.内申書に記載されたのは事実である外部的行為であり,それによってその者の思想,信条を了知し得るものではない。

b.思想,信条とその者の外部的行為の間の密接な関係を認めた三菱樹脂事件判決(最大判昭和48年12月12日)の趣旨と相違する。[№6]

ウ.

a.本件における使用者による労働者の政党所属調査は,社会的に許容し得る限界を超えて労働者の思想の自由を侵害した違法行為であるということはできない。

b.労働者の思想信条は,これを理由とする労働条件の差別的取扱いの有無にかかわらず,それ自体において憲法第19条に即して尊重されるべきである。[№7]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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b の見解でも謝罪広告を掲載を命じることは憲法に違反しないということになり、a の批判となっていない。 そのため、解答は2となります。

イについて

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麹町中学校事件では内申書への活動の記載は思想・良心の自由を侵害していないとされました。 ただ、三菱樹脂訴訟では「特定の思想を持つ者を拒んでもそれは当然に違法とすることはできない」とされています。

ここから、外部の活動が憲法19条と関係を持たない前者の判例と外部の活動が憲法19条と関係を持つ後者の判例と違っていることが分かります。 そのため、解答は1となります。

ウについて

判例では、企業内における雇用者の労働者に対する政党所属調査に関して、「思想良心などの精神的自由は十分に尊重されるべき」とされています。 そのため、解答は1となります。  

 

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司法試験H23公法系科目第4問【衆議院議員定数不均衡事件】

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〔第4問〕(配点:2) 衆議院議員定数不均衡訴訟判決(最高裁判所昭和51年4月14日大法廷判決,民集30巻3号223頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№4])

ア.憲法第14条第1項に定める法の下の平等は,選挙権に関しては,国民は全て政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり,選挙権の内容,すなわち各選挙人の投票の価値の平等も,憲法が要求するところである。

イ.議員定数配分に際しては,人口比例の原則が最も重要かつ基本的な基準ではあるが,投票価値の平等は,国会が正当に考慮することのできる他の政策的な目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであり,国会の裁量権の行使の際における考慮要素にとどまる。

ウ.投票価値の不平等が,国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお,一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達し,かつ,合理的期間内における是正が憲法上要求されているのに行われない場合,当該選挙は違憲無効となる。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

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アについて

最高裁は「選挙権に関しては国民すべてが政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものである」としています。 また、15条1項等の規定の文言上は「選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた、憲法の要求するところ」ともしました。 そのため、解答は◯となります。

イについて

ウについて

本件の選挙は法律に違反して無効であるにとどめられ、選挙自体は有効とされています。そのため、解答は✖となります。

 

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司法試験H23公法系科目第3問【プライバシー】

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〔第3問〕(配点:2) プライバシーに関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№3])

ア.「宴のあと」事件判決(東京地判昭和39年9月28日)は,いわゆるプライバシー権は私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利であるとし,公開を欲するか否かについては,本人の感受性を基準にして判断するとした。

イ.京都府学連事件判決(最大判昭和44年12月24日)は,個人の私生活上の自由として,何人もその承諾なしにみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有するとし,警察官が正当な理由もないのに個人の容貌等を撮影することは,憲法第13条の趣旨に反するとした。

ウ.講演会参加者名簿提出事件判決(最二小判平成15年9月12日)は,大学が学生から収集 した参加申込者の学籍番号,氏名,住所及び電話番号は,プライバシーに係る情報として法的 保護の対象となるとし,個人の人格的な権利利益を損なうおそれがあるものであるとした。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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宴のあと事件では、「本人の感受性」ではなく「一般人の感受性」を基準するとしているため、解答は✖となります。

イについて

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京都府学連事件では、本人の許可なく撮影することは許されず憲法13条に違反するとされているため、解答は◯となります。 ※合理的な理由のある本件では憲法に違反しないとされました。

ウについて

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プライバシーに関する情報は保護の対象となり、名簿として提出したものでもそれが利用されないという期待を持つのが普通で、それを提出することは人格的利益を損なう可能性があるとされています。

そのため、解答は◯となります。 以上、ア=✖・イ=ウ=◯なので解答は5となります。

 

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司法試験H23公法系科目第2問【特別権力関係論】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H23の第2問を解説します。

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〔第2問〕(配点:2) いわゆる特別権力関係論に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№2])

ア.特別権力関係論によれば,公権力と特別な関係にある者に対して公権力が包括的な支配権を有し,公権力は法律の根拠なく人権を制限することができ,それについて裁判所の審査は及ばない。

イ.特別権力関係が成立する場合としては,法律の規定に基づくものと本人の同意に基づくものとがある。前者の例として挙げられていたのは受刑者の在監関係と公務員の在勤関係であり,後者の例として挙げられていたのは国公立学生の在学関係であった。

ウ.特別権力関係論には,本質的な問題がある。それは,特別権力関係に属する者が一般国民としての地位に何らかの修正を受ける点で共通の特色を持つにとどまるにもかかわらず,権力服従性という形式的要素によって包括し,人権制約を一般的・観念的に許容する点である。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

特別権力関係論において、公権力は法律の根拠なく人権を制限することが可能で、その場合に裁判所の司法審査が及ぶことはありません。 そのため、解答は◯となります。

イについて

法律の規定に基づく特別権力関係論について。

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本人の同意に基づく特別権力関係論について。

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後者については法律の規定に基づく場合ではなく本人の同意人によるであり、これには公務員の任命も含まれるとされます。 そのため、解答は✖となります。

ウについて

特別の権力関係にとどまるというだけでその地位に修正を受け、法律を基にするのではなくその形式を基にするという点で問題があります。 そのため、解答は◯となります。 以上、ア=ウ=◯・イ=✖なので解答は3となります。

 

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司法試験H23公法系科目第1問【憲法14条1項】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H23の第1問を解説します。

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〔第1問〕(配点:2) 東京都管理職選考受験資格確認等請求事件判決(最高裁判所平成17年1月26日大法廷判決,民集59巻1号128頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№1])

ア.普通地方公共団体は,職員に採用した在留外国人について,国籍を理由として,給与等の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないが,合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではない。

イ.普通地方公共団体が,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任できる措置を執ることは,憲法第14条第1項に違反しない。

ウ.日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者は,居住する地方公共団体の自治の担い手であり,地方公共団体の管理職への昇任を制限するには,一般の在留外国人とは異なる理由が必要である。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

判例はこちらになります。

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アについて

合理的な理由に基づいているのであれば、日本国民と異なる取扱いをすることも許されます。そのため、解答は◯となります。

イについて

その任用制度を適切に運用するために国籍要件について区別を設けることは、合理的な理由に基づくものとされています。 そのため、解答は◯となります。

ウについて

日本国籍を有しない者として異なる区別をする必要はないと考えられます。そのため、解答は✖となります。 以上、ア=イ=◯・ウ=✖なので解答は2となります。

 

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司法試験H22公法系科目第1問【人権の享有体】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H22第1問を解説していきます。

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〔第1問〕(配点:3) 人権の享有主体に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№1]から[№3])

ア.会社が,国民と同様,特定の政党の政策を支持又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有するとしても,政治資金の寄附は政治の動向に影響を与えることがあるから,会社の政治資金の寄附は国民による寄附と別異に扱わなければならない。[№1]

イ.税理士会は公益法人であり,また,その会員である税理士に実質的に脱退の自由が認められないから,税理士会がする政治資金規正法上の政治団体に対する政治献金は,それが税理士法改正に関わるものであったとしても,税理士会の目的の範囲外の行為と解される。[№2]

ウ.出国の自由は外国人にも保障されるが,再入国する自由については,憲法第22条第2項に基づき,我が国に生活の本拠を持つ外国人に限り,我が国の利益を著しく,かつ,直接に害することのない場合にのみ認められる。[№3]

出典

問題『司法試験H22公法系科目

解答『司法試験H22公法系科目

アについて

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判例では「会社は、他面において、自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他(以下社会等という。)の構成単位たる社会的実在なのであるから、それとしての社会的作用を負担せざるを得ないのであ」るとしています。

ここから、法人であっても自然人同様に社会的実在であって別異ではないとしていることが分かるので、解答は2となります。

イについて

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判決では、「税理士会がそうした活動をすることは法の予定しないところであり、目的の範囲外の行為である」としています。 そのため、解答は1となります。

ウについて

出国の自由:

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入国の自由:

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再入国する自由については憲法上は認められていないため、解答は2となります。

 

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