司法試験H23公法系科目第5問【思想良心の自由】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H23第5問を解説していきます。

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〔第5問〕(配点:3) 憲法第19条に関する次のアからウまでの各記述のうち,aは最高裁判所の判例を要約したものであり,bはその批判として書かれたものである。bがaの批判となっている場合には1を,bがaの批判となっていない場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№5]から[№7])

ア.

a.謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずることは,憲法第19条が保障する良心の自由を侵害するものではない。

b.憲法第19条の「良心」には道徳的反省や誠実さは含まれないので,単に事態の真相を告白し,陳謝の意を表明する程度の強制は認められる。[№5]

イ.

a.内申書に記載されたのは事実である外部的行為であり,それによってその者の思想,信条を了知し得るものではない。

b.思想,信条とその者の外部的行為の間の密接な関係を認めた三菱樹脂事件判決(最大判昭和48年12月12日)の趣旨と相違する。[№6]

ウ.

a.本件における使用者による労働者の政党所属調査は,社会的に許容し得る限界を超えて労働者の思想の自由を侵害した違法行為であるということはできない。

b.労働者の思想信条は,これを理由とする労働条件の差別的取扱いの有無にかかわらず,それ自体において憲法第19条に即して尊重されるべきである。[№7]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

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b の見解でも謝罪広告を掲載を命じることは憲法に違反しないということになり、a の批判となっていない。 そのため、解答は2となります。

イについて

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麹町中学校事件では内申書への活動の記載は思想・良心の自由を侵害していないとされました。 ただ、三菱樹脂訴訟では「特定の思想を持つ者を拒んでもそれは当然に違法とすることはできない」とされています。

ここから、外部の活動が憲法19条と関係を持たない前者の判例と外部の活動が憲法19条と関係を持つ後者の判例と違っていることが分かります。 そのため、解答は1となります。

ウについて

判例では、企業内における雇用者の労働者に対する政党所属調査に関して、「思想良心などの精神的自由は十分に尊重されるべき」とされています。 そのため、解答は1となります。  

 

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